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ホリエモンWITH 堀江貴文×石川光久「攻殻機動隊を巡るトークセッション」 1/4

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石川光久(いしかわ・みつひさ)
Production I.G代表取締役社長。1958年東京都生まれ。竜の子プロダクションを経て1987年アイジータツノコ(現Production I.G)を設立。『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』『イノセンス』をはじめ、数々のアニメーション作品を制作。

テクノロジーが攻殻機動隊の世界を現実に

堀江貴文(以下、堀江) 攻殻機動隊って公開当初ってそうでもなかったでしょ? どこから広がっていったんですか?

石川光久(以下、石川) やっぱり海外から来たっていうのが現実ですよね。

堀江 大体、マトリックス見たっていうと攻殻機動隊見てないの?みたいな話を必ずされるんですよね。

石川 そうなんですか?そういう意味では流れがありますね。時系列からいくとウォシャウスキー姉弟が攻殻を見て、こういうのが作りたいって作ったマトリックスがヒットして。攻殻はそういった監督とか作ってる現場の人に影響を与えて、そこから火がついたという。

堀江 でもまるっきり攻殻機動隊ですよね。すごい。

石川 そうですね。押井さんが作ったっていうのもあるし、原作の士郎さんが25年前にその世界を作ったっていうのがすごい。

アニメ!アニメ!(以下、AA) 今、マトリックスの映画の話が出たんですけども、堀江さんアニメはよく見られるんですか?

堀江 普通の人よりは見てると思いますけど、そこまでヘビーではないですね。ライトな人よりはって程度ですよ。

AA たとえば今まで見てきたアニメの中で、こんなのが心に残ってるとかはありますか。

堀江 僕がよく言うのは「オネアミスの翼」

AA SFっぽいものが好きとか?

堀江 いや、どっちかっていうとSFはあんまり好きじゃないですね。

AA 攻殻機動隊はどうですか?わりと見られていた?

堀江 いや、僕はマトリックスの話をしてたら攻殻を見ろって言われて見たっていう感じですかね。

石川 それで、堀江さんの著書『ゼロ』を読んだんですけど、その中に小学校1年生の時に初めて感じた死への恐怖のエピソード、死への恐怖の克服の手段として意識と体を切り離して、意識をロボットに転送するみたいなのが書いてあってすごく興味深かった。死にたくないとか、そういうテーマに対して、テクノロジーによって意識を転送するっていうのが攻殻でいうゴーストの概念に繋がるんじゃないかって。それって脳を移植するわけじゃないですか?脳の機能として、記録を蓄積させるという部分はコンピュータでもできるけど、意識、感情とか欲望みたいなものっていうのは、なかなかコンピュータでは生まれないもの。そういう部分を含めた堀江さんの考える意識の転送っていうのを、今日は聞きたかったんですよ。

堀江 転送の話ですか?

石川 うん、それがなんとなく士郎さんと似てるような気もするんですよね。

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堀江 結局、人間の細胞ってかなりの頻度で中の質って入れ替わっていて、1カ月とか経つと体全体が置き換えられているんですよ。常に食事をしたり水を摂ったりとかして外部から分子を取り入れて、かなりの部分がそいつらに置き換わっていくわけですよ。それを考えると、脳の中も常に入れ替わってるんだけど、意識って昨日の自分と今日の自分は連続した同一の存在っていうふうに思ってますよね。でもそれって単なる思い込みなんですよね。その人間として自我の萌芽っていうのは、思い込みのループだと僕は思っていて、たとえば統合失調症って、意識のループが頭の中にいっぱいできちゃう。1個じゃなくて。だから僕はこの自分は堀江だ、堀江だって思ってるんだけど、これは思い込みなんですよ、たぶん。脳って一部の機能が欠落しても意識は残ったりするじゃないですか。脳梗塞とかで半身不随とかになっても意識はあるみたいな。記憶だって記憶喪失しても自我ってなくならない。だから意外といい加減なのかなって。そういう状態を保ちながら、ちょっとずつこう別のものに入れ替えていくと、最終的に全部入っちゃうっていう世界はあり得ますよね。それが必ずしも有機質でなくて、無機質にだったり。無機質でできた脳にだって変えられるかもしれないっていう。

石川 ああ、そういうことですよね。

AA 技術的なものと脳が結びつく、それがまさに攻殻的な世界なんですけども、それは人にとって幸せなことだと思いますか。

堀江 幸せとか幸せじゃないってことは、僕はまず考えないですけどね。こういうことができるじゃんっていう。人間って根本的に技術的にできたものは試したくなるっていう生き物なので。たとえば、アインシュタインが相対性理論を思いついたわけじゃないですか。E=mc2っていう方程式を導き出したわけですよね。何それっていう話なわけですよ。エネルギーは光速の2乗に比例して、mは物質の質量なわけですよね。物の中には質量×光速2乗分のエネルギーが入ってるわけですよ。すごいことじゃないですか。光速ってものすごく数字がでかいじゃないですか。光の速度ってものすごく速いじゃないですか。それの2乗分のエネルギーが小さな原子核の中に含まれてるってすごいねって。それを解放してあげることで、ものすごいエネルギーを取り出せる、っていうことがわかったわけですよね。そしたらどうやって取り出そうかって、みんな考えるわけですよ。1番手っ取り早い取り出し方は爆弾だよね、みたいな話で。思いついちゃったわけですよね。核分裂。要は核分裂をして中性子が放り出されて、その中性子が隣の原子核にぶつかって、その原子核が崩壊して分裂して、その連鎖反応が起きる。ある程度、ウランの濃度を高くするとそういう現象が起きる。それによってできたプルトニウムはさらに、同じように分裂する。それが分かって、試したくなるわけですよ。で、試しちゃって、大被害が起きたわけですけど、そういう人たちですよね、人間って。パンドラの箱があったら開けちゃいたくなるっていう。開けないわけがないっていう。だから、それをいいんでしょうか?悪いんでしょうか?っていうふうに考えることに、僕は意味が無いと思っていて。

AA たとえば、本当に義体があってこれを使えば堀江さんの寿命が3倍伸びます、みたいなことがあったら、それは堀江さん自身は試してみたい?

堀江 真っ先に試すでしょうね。え、なんで、逆になんで試さないんですか?

AA 怖くはないですか? やっぱり技術の進歩っていうのは、人に対して恐怖をもたらすじゃないですか。

堀江 もたらすっていう、概念がないですね。