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ホリエモンWITH 熊谷俊人千葉市長が語る、行政の現在そして未来。後編2/2

ホリエモンWITH 堀江貴文 千葉市長 熊谷俊人

行政の役割は事業ではなくお墨付き!?

堀江 全然話変わりますけど、教育系で言うと課題とかってあるんですか?例えば大阪市だったら、教育バウチャーやったりだとか。橋下さんと話しててすごく面白いなと思ったのは、とにかく子どもの教育に今すごく力を入れてて、教育が一番確かだとおっしゃってて。12歳の子どもを6年間育てたら大人になる。たった6年で大人になって、その人たちが稼げる力の有無によって、そのあとの生活保護費だったりとか社会保障とかそういったものがどんどん変わってくるわけです。その辺り千葉市はどうなんですか?

熊谷 そうですね。千葉市は大都市の中でも学力テストも含めて、かなりいい成績です。教員の質もいい方だと思っています。問題としていくつかあるのは、一つは社会の変化を考えると、共働き世帯が増えていく。学校、教育委員会の想定している業務範囲は学校時間内なので授業が終わったら、もう知らないわけですよ。そうすると家の中における学習力なりで露骨に差が出るわけです。そう考えちゃうと、我々がやらなきゃいけないのは放課後対策ですよね。放課後に、いかに学習する機会っていうのを、市として、教育委員会として作っていけるのか、きわめて大きな課題の一つですね。もう一つは、時代の変化の中で子どもたちの発達段階が変わりつつあると思いますね。今までは小学校1年生から小学校6年生まで、6年間同じ場所。中学は3年間で短いわけですよ。今、議論されているのは、小6を中学校側に持って行った方がいいんじゃないかと。もしくは小中一貫校なり中高一貫校みたいな形で、ものすごいロングタームで教育が出来るような形に切り替えた方がいいんじゃないかっていうところですね。

堀江 僕はそこはちょっと疑問があって、いじめの問題とか、個別の能力を伸ばせない教育っていうところがすごく問題意識としてあるんですよ。でも一貫にしちゃったら、逃れられない子どもたちって結構出てくるのかなっていうのが課題としてある。学校って、一つの場所にすごく縛りつけられるじゃないですか。30人なり50人なりのコミュニティとずっと付き合っていかなきゃいけないわけじゃないですか。だけど正直、個人の能力って、足が速い、遅いとか、頭がいい、悪いとか、わからないクリエイティブの才能がある、もしくは全くないとか、いろいろまだらにあると思うんです。そういう子どもたちをごちゃっと30人にまとめて9年間ずっと一緒ですっていうと、多分、息詰まっちゃう子どもとかもたくさん出てくるような。もちろんそこで対応できる子たちの方がマジョリティだと思いますけど、そういう子たちの逃げ道みたいなものが、全くないっていうか。僕は行政の役割って、事業をやることっていうよりはお墨付きだと思っているんです。ここ15年ぐらいで政府がやった政策の中で、僕が一番評価しているのはクールビズなんですよ。あれだけ予算をかけずに、みんながネクタイしなくてよくなったっていう、あれってすごいことだと思うんですよ。でもそれは本当にそうだと思っていて。例えばそういうドロップアウトした子たちって、フリースクールに行ったりとか、あるいは自殺しちゃったりとか、登校拒否になっちゃったりとかしてると思うんですけど、彼らってやっぱりオフィシャルにダメ出しをされてるわけですよ。「ダメなやつら」って烙印を押されちゃってる。フリースクールはかっこ悪いみたいな。あるいは、お父さんお母さんにかっこ悪いから言えないとか。周りの子たちにも言えない。それをオフィシャルに「あなたたち、別に悪くないよ、いい子たちだよ」っていうふうに、行政がお墨付きをつけるような仕組みっていうのが出来ないのかなって。

熊谷 確かに。でも堀江さん、やっぱりそういう意味で、ドロップアウトするのって中学校が一番多いんですよ。中学がなんで多いかというと、3年間で規定をこなさなきゃいけないからなんです。「中一ギャップ」って我々言うんですけど、やはり中学に入って一気に崩れていく子って多いんですよ。みんな3年という短い期間の中で、まさに個人差がある中を、スタートからゴールまで、同じにしなきゃいけないわけです。そうすると、進捗の遅い子どもに対してゆっくりでいいんだよって出来ないんです。まずやっぱり本当に思うのは、中学3年だったらせめて高校とつなげるなり小学校とつなげてあげて、個々の進捗に応じてちょっとゆっくりでいいよと。1年を2年間かけてやるとかっていう選択が必要かなと。あともう一つ、今の子どもたちの問題は、子どもの数が減ってるので、クラスが減って来ているんですよ。そうすると、いじめとかなにかあった時にクラス替えで逃げられない形が増えてくるんですよね。5クラス4クラスあると、問題が起きてもまだ学校内のクラス替えで生き残れる道はあるわけです。それでも駄目だったら学校変わるとかになっちゃうんですけれども。今、クラスが1クラス2クラスしか1学年にない学校って、ものすごく増えています。これも大きな問題ですね。

堀江 それがわからないんですよ。それはちょっと行き過ぎなのかもしれないけれど、民間の塾的な部分も例えば単位として認めるとか、ぐらいの、もうちょっとそこを柔軟に千葉市だけでもやれると面白いかなって。

熊谷 なってくると思いますよ。今まさに我々も議論しているのは、いくつかあるんですよね、こういうことも我々現場でやってますっていうところを、私たちは制度化しようと。

堀江 現場で運用的にやってるってことですね。

熊谷 やってます。現場の運用から制度の方向に議論を持って行ってる。

堀江 制度化すると、オフィシャルにお墨付きが出て、子どもたちのプライドも維持できるというか、そこですよね。あとは、要はネット教育とかまで含めて、在宅で家庭で教育してもある程度はOKみたいな感じに、それを行政がお墨付きを付けるっていうのが、僕はすごく大事なのかなっていう。でも結構やられてますね。

熊谷 みんなやっぱり、方向としてはそういうふうになっていくと思いますよ。現場から見ていくと、そうなってくると思いますね。

堀江 今、何期目ですか?

熊谷 2期目で、今6年目に入ったところですかね。

堀江 でもよかったですね、若くして、なれて。

熊谷 そうです。20回人生を繰り返しても、多分こんなことはできないと思いますね。31歳で大都市の市長やるっていうのは、そう簡単にないと思います。だから本当にありがたい。

堀江 すごいいい経験になってますよね。

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熊谷俊人(Toshihito Kumagai)
1978年2月18日生まれ。神戸市出身。千葉市稲毛区在住。2001年 早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。同年、NTTコミュニケーションズ株式会社入社。2006年 NPO 政策塾「一新塾」第18 期生。2007年 千葉市議会議員選挙(稲毛区)に立候補、8,570 票を得て初当選。2009年6月、千葉市長に立候補、170,629 票を得て初当選。当時最年少の31歳で市長に就任。現在2期目。

Photograph Text/Edit/=柚木大介 Transcription=logo-01