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ホリエモンWITH 「遺伝子組み換えでクモ糸をシルクに混ぜ、強度を増した」 生物研が目指す、養蚕業の未来とは?前編1/2

ホリエモンWITH 堀江貴文 生物研

クモ糸シルクは「再生医療」「防火服」にも使える

堀江貴文(以下、堀江) 桑名さんは遺伝子組み換え技術を使って、クモの糸の特徴を持った(クモの糸のタンパク質の入った)シルクを吐き出すカイコを作ったんですよね。

桑名義彦(以下、桑名) そうですね。ここにクモの糸のタンパク質が入ったシルクとふつうのシルクがあるんですけど、クモの糸が入っているほうが少し弾力感というか、しなやかさがあるんです。

堀江 (クモ糸シルクを手に持ち)ああ……なんか、ちょっとそんな感じはします。

桑名 業界の人に言わせると「もう、全然違う!」と。

堀江 強度でいうとどれくらい違うんですか?

桑名 強度は通常のシルクの20%増くらいですね。そして、伸縮率が30%増。それから“タフネス”という糸の切れにくさの数値があるんですけど、これは通常のシルクの1.5倍です。タフネスは、糸が切れるまでにどれくらいのエネルギーを吸収するかというもので、たとえば防弾チョッキが弾丸を止める時の数値などに関わってきます。

堀江 強度などが上がったクモ糸シルクは、具体的にどんなものに使われるんですか?

桑名 実は、そこが問題なんですよ。

堀江 えーっ!?(笑)

桑名 もともとは、「シルク自体の強度をもっと上げてほしい」という業界からの要望があったんですよ。

堀江 天然のシルクは、合成繊維などに比べてやっぱり強度が劣ったりするものなんですか?

桑名 炭素繊維やアラミド繊維などに比べると、やはり劣ってしまいます。でもナイロンやレーヨンとであれば、ほぼ同じくらいじゃないでしょうか。

堀江 へー。

桑名 そして今以上に強度が上がれば、衣服だけではなく、手術用の縫合糸などにも利用できると思います。特に眼科の手術では細くて強い糸、縫う時に切れにくい糸が求められていますから。

堀江 今、手術の縫合糸ってシルクなんですか?

桑名 シルクもありますが、ほとんどは合成繊維ですね。

瀬筒秀樹(以下、瀬筒) シルクはタンパク質なので、生体親和性が高いんです。ナイロンなどは体内で分解されないんですけど、シルクは徐々に分解していって、自分の組織に置き換われるというメリットがあります。

堀江 体の中にそのまま置いておけると……。

桑名 そうです。あとはクモ糸シルクを編み込んで細い小口径の人工血管などにも使えます。そうした再生医療の材料という方向もありますね。

堀江 人工血管のベースですね。

桑名 それから、シルクは燃えにくいという性質があるので、“防火服”と言うと言い過ぎになるのですが、消防士さんのインナーの材料などへの利用もできます。火災の現場で合成繊維のインナーを着ていると、熱さでインナーが溶けて肌にくっついて火傷をしてしまうことがあるのです。しかし、シルクは合成繊維に比べて燃えにくいですし、溶けて肌にくっついて火傷をするということがないんです。ですから、伸縮性などが向上したクモ糸シルクでインナーを作れば、燃えにくいだけでなく、消防士さんの動きを妨げないなどの機能が向上したインナーを作ることも可能です。

堀江 なるほど。