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ホリエモンWITH 「カイコを使って新しい薬や食品を作る」 東大・関水和久の考える“ゲノム創薬の未来”とは?後編2/2

ホリエモンWITH 堀江貴文 関水和久

免疫力を高める新しい機能性食品を作るのにカイコが使える

関水 あとは食品の開発にもカイコは使えます。機能性食品など体に良い食品を作る時にマウスを使って実験するのは、やはりお金がかかりすぎる。

堀江 まあ、そうですね。

関水 ですから、カイコを使えばいいんです。まず食品の毒性試験にカイコを使う。そして、機能性食品にはいろいろな効果や効能がありますよね。たとえば免疫改善や活性化など。それを判断するのにカイコが使える。実は、カイコも人も抗体を介さない免疫反応が共通しているんです。

堀江 それは生命系が一緒だってことですよね。

関水 そうです。これも発見です。たとえば、みなさんの中で、どなたの免疫が今、活性化されているかって見ただけでわからないじゃないですか。でも、カイコは免疫が活性化されると筋肉が収縮するんです。

堀江 へー。それは何でわかるんですか?

関水 ダンゴムシって知ってます?

堀江 はい。

ホリエモンWITH 堀江貴文 関水和久

関水 ダンゴムシは、いじめると丸まって防御態勢になるでしょ。もちろん、神経系からの入力でもそうなるんですけど、免疫が活性化されても筋肉が収縮して防御態勢に入るんです。このメカニズムが非常にありがたい。カイコに注射をするだけで、免疫を活性化させる物質が簡単にスクリーニングできるんですから。

堀江 なるほど。

関水 従来は、免疫担当細胞を培養して、サンプル物質を入れてサイトカインという免疫の活性化を示す物質が出てくるかどうかを調べていたんです。しかし、この方法だとバクテリアが混入すると「ポジティブ」に出ることがあるんです。

堀江 擬陽性が出るっていうことですね。

関水 そうです。カイコだとそれがない。それで私が設立した『ゲノム創薬研究所』というバイオベンチャーがあるんですが、そこで免疫の活性化の受託研究をやったんです。すると緑茶やブロッコリーなどの活性化が高く、乳酸菌は特に高かった。それで、さらにいろいろな乳酸菌を調べてみたら、キウイフルーツから取れた乳酸菌が一番高かった。

堀江 キウイフルーツですか。

関水 はい。1ミリグラムあたりの数値が105ユニットあったんです。ある大手のメーカーさんから出ている有名ヨーグルトは50くらいだったので、倍以上の数値ですよね。それで、その乳酸菌でヨーグルトを作ってもらったんです。それが、今、みなさんに食べていただいているものです。どうですか?

堀江 普通においしいです。

関水 おいしいのは、それを作った業者さんの腕がいいからです(笑)。

堀江 どこが出しているんですか?

ホリエモンWITH 堀江貴文 関水和久

関水 『東北協同乳業』という会社です。東北協同乳業さんに頼んで作ってもらったんですよ。東北の復興支援のひとつになるかなと思って。

堀江 これ、たぶんこの商品名が……。「11/19-B1」って、何だそりゃ、みたいに思いますよ。

関水 それは菌の名前なんです。11月19日に取れたので「11/19」ってつけたんですが(笑)。

堀江 そうか。「R−1」とかもあるけど、あれも乳酸菌の名前でしたっけ?

関水 ええ。

堀江 これは、どうやって買うんですか? 東北協同乳業から直接買うしかないんですか?

関水 今は地域限定販売で地方に送る事もできます。東大でも、売る可能性があるみたいですよ。

堀江 サプリメントはどうなんですか? 表面をコーティングして、中に乳酸菌をつめる。

関水 たしかに。そうなんですよ。

堀江 それに、商売としてちゃんとやるなら、宣伝もきちんとしないとダメですよ。

関水 そうですよね。でも、まずはカイコです。私は、カイコで、これまでなかなか発見できなかった薬や体に良い食べ物が、今よりも楽にできるんじゃないかと思っているんです。とにかく、カイコは人とあまり違わないんですから。

堀江 はい。それは今回お話をうかがって、とてもよくわかりました。僕が得意なのはマーケティングなので、先生がやられている研究の有用性を一般の人にわかりやすく説明していきたいと思います。それがこの「ホリエモンWITH」のポイントですから。本日は本当にありがとうございました。

関水 いえいえ、こちらこそありがとうございました。

 

Photograph/Edit=柚木大介 Text=村上隆保