WITH

ホリエモンWITH 「日本初のタクシー配車アプリを開発」 日本交通・川鍋一朗が語るタクシー業界の未来とは? 前編1/2

ホリエモンWITH 堀江貴文 川鍋一朗

川鍋一朗(Kawanabe Ichiro)
日本交通株式会社・代表取締役社長
1970年、東京生まれ。慶応義塾大学卒業後、米国ノースウエスタン大学ケロッグ経営大学院でMBAを取得。その後、マッキンゼー・アンド・カンパニー・インク・ジャパンを経て、2000年、日本交通に入社。2005年、当時業界最年少の34歳で3代目代表取締役社長に就任する。「タクシー王子」と呼ばれている。

 

日本交通の配車アプリは、Uberへの対抗策ではない

堀江貴文(以下、堀江) 日本交通さんのタクシー配車アプリは、スゴく調子がいいみたいですね。

川鍋一朗(以下、川鍋) ありがとうございます。

(編集部注:日本交通のアプリ『日本交通タクシー配車』は、東京23区や神奈川県、埼玉県の一部地域など日本交通グループなどのタクシー約3700台をスマホで簡単に呼べるタクシー配車サービスアプリ。また『全国タクシー配車』は、全国47都道府県にある約2万台のタクシーをスマホで簡単に呼べる日本最大級のタクシー配車サービスアプリ)

堀江 このアプリを作ろうと思ったきっかけは何だったんですか? 『Uber(アメリカで開発された配車サービスアプリ)』を意識したんですか?

川鍋  いや、そうではないんですよ。2000年に創業家3代目として日本交通に入社した時、私は“タクシーは拾う時代から選ぶ時代へ”という標語を掲げました。当時、タクシーは街を流してお客さまに乗ってもらうことがほとんどだったんですが、それだといいサービスをする乗務員もそうでない乗務員も同じ条件になってしまう。そうじゃなくて、“いい乗務員には、ちゃんといいお客さまから指名が入るような仕組みを作りたい”と思ったんです。そこで、たとえば六本木ヒルズにタクシー乗り場を作って、“黒タク(サービスや運転技術などが優秀な乗務員が乗っている黒塗りのタクシー)”を優先的に並ばせたりしました。

堀江 なるほど。

川鍋 そうした流れの中で、2010年に『ドミノ・ピザ』さんの注文アプリを知ったんです。そのアプリは配達する場所の住所がわからなくても、たとえば“お花見をしている上野公園のこの桜の木のあたり”とかでもGPS機能でデリバリーできる。

堀江 ああ、『カクヤス』(酒類販売)とかもやってましたよね。多摩川の河川敷でバーベキューをやってる時に、その場所に生ビールのサーバーを持って来てもらったり。

川鍋 マップが示すピンの位置に持ってきてもらうんですよね。で、それを見て、「これって、使えるんじゃない?」って思ったんです。そして、社内のシステム部門に「これと同じの作ってよ」とお願いしました(笑)。

堀江 時期的にはUberと同じくらいんじゃないですか?

(編集部注:Uberがアメリカのサンフランシスコでサービスを開始したのは2010年の夏)

川鍋 たぶん、同じくらいだと思います。ですから、Uberなどのタクシーアプリが出てきたからやりはじめたということではなく、純粋に私の頭の中で考えていたアプリなんです。

ホリエモンWITH 堀江貴文 川鍋一朗

堀江 へー、そうなんですね。

川鍋 はい。それから、日本の場合は営業の許認可がタクシー会社ベースなんですが、アメリカは個人ベースなんですよ。それで個人事業主の運転手に対してタクシー会社が車をリースするという形になっているんです。

堀江 はいはい。

川鍋 でも日本の場合、タクシー会社の乗務員はみんな社員ですよね。そうすると個人で勝手にUberと契約して配車を受けることができない。勝手に予約を受けると就業規則違反になっちゃいますから、自社の配車部門が許可したものでなければ受けられないんです。

堀江 ああ。

川鍋 そういう構造的な違いもあって、Uberとは別の流れでアプリを考えてきました。

堀江 今、日本では東京の都心部でUberのサービスがスタートしていて、一方で、韓国のソウルでは利用が禁止されていたり、フランスのパリではUberの運転手が襲撃されたりする事件が起きていますよね。

川鍋 そうですね。

堀江 こうした状況について、どう思われます?

川鍋 基本的に海外で叩かれているのは『Uber X』のような“白タク(タクシー免許がなく、自家用車で営業を行っている車)”の部分なんですよね。

(編集部注:Uberは、リムジンなどの高級車による「Uber BLACK」、タクシーがやってくる「Uber TAXI」、個人が個人所有の車で営業をする「Uber X」などに分かれていて、Uber Xは、まだ日本ではサービスを開始していない)

堀江 僕、日本では『Uber BLACK』しか乗ったことがないんですけど、この間、アメリカで初めてUber Xに乗りました。最初は質が悪いんじゃないかと思ってたんですけど、意外と良くてビックリしましたよ。

川鍋 そうなんですよ。私も海外に行って乗ると「いいなぁ」と(笑)。

堀江 ハハハハハ(笑)。それに、安いし。

川鍋 問題はそれが玉石混交で、“玉”がいつまで続くかっていうことなんです。車もいいし、運転手もいい、そして安い。でも、たまにヘンなドライバーがいる。そういう時にどうしてもリスクが出てきちゃいますよね。すごく短期的な利便性でいえば、Uber Xのようなサービスは消費者にとって素晴らしいと思うんです。でも、そのうちに「運転手に乱暴をされた」とか「道を遠回りされた」とか、そういう問題が出てくると思うんです。

堀江 遠回りのリスクに関して言えば、Google mapとかをベースに走っているわけだから、どんなに知らない場所に行ったとしても、これは明らかに遠回りしているなっていうことがわかるわけじゃないですか。

ホリエモンWITH 堀江貴文 川鍋一朗

川鍋 はい。

堀江 履歴が出るわけですから、リコメンドするルート以外を通った場合などUber側も把握できますよね。

川鍋 そうでしょうね。私もロンドンで遠回りをされてクレームをつけたことがあるんですけど、すぐに返金がありましたから。

堀江 あ、そうなんですか?

川鍋 はい。すぐに調査して、翌日に返金がありました。それで「このサービスはすごい」って驚きましたから。ですから、Uberから学ぶことは意外と多いんですよ。

堀江 なるほどね。

川鍋 ただし、やっぱり許可を受けていない車は……。たとえば、インドのような事件が起きると、最初にやり玉にあがるのは許認可を受けずに営業をしている白タクの部分だと思うんです。そういう営業はやはりまずいんじゃないかと。世界各地で今、そういう流れになっているんです。

堀江 っていうことは、Uberはわざとやっているんですかね。Uber Xはダメで、それ以外のUber BLACKやUber TAXIだったらいいと思わせるために……。

川鍋 そういう考えもできなくはないですね。

 

次のページに続きます。