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「ビッグデータを活用すれば、 すぐに売上げや生産性が向上する」 日立製作所中央研究所・主管研究長 矢野和男が考える“データビジネス”の未来とは?1/2後編

堀江貴文 矢野和男 ホリエモンWITH

<前編はコチラ>

企業だけでなく、スポーツや街コンなどにもビッグデータは活用できる

矢野 これは、あるコールセンターの例なんですけど……。

堀江 (データを見ながら)休憩中の活動度が高いんですね。

矢野 そうなんです。このセンターでは、休憩中の活動度が高くなると従業員のハピネスも高くなることがわかったんです。

堀江 というと、休憩中に何かをやってもらったんですか?

矢野 そうですね。一人で休むのではなく、同世代の従業員たちで4人一組になって休憩をとってもらいました。すると、雑談が増えて、コミュニケーションが増えて、ハピネスがあがりました。そして、結果としてこのコールセンターの受注率が13%増えたんです。

堀江 これって、すごく単純なことですけど、すごい話ですよね。

矢野 そうなんです。たとえば、組織だったら毎期ごとに予算や人事などの評価をしていますよね。でも、これまでの評価って数値的に見えてくるものが少なかったと思うんです。だから、それをきちんと見えるようにしましょうということなんです。

堀江 これ、みんなやればいいのに(笑)。

矢野 でも、日本のビッグデータの分野って、欧米に比べるとまだ実績が少ないんですよ。日本全体が、まだ経験と勘に頼っているような状況というか……。

堀江 じゃあ、外にライセンスすればいいじゃないですか。『IKEA』とか『カルフール』とか。そっちには行かないんですか?

堀江貴文 矢野和男 ホリエモンWITH

矢野 まだ、行ってないですね。今は日立グループの中で使い始めているという段階です。

堀江 もったいないですね。

矢野 でも、そろそろビッグデータとか、IoT(Internet of Things)という言葉が日本にも浸透してきた感じがするので、そろそろ市場が立ち上がるんじゃないかと思っているんです(笑)。

堀江 店舗業績向上ソリューションですね。こういう研究って、企業だけでなくて、街全体とかでもやると面白いですよね。

矢野 そうですね。そういうのも、ぜひ行ってみたいなと思っています。あとは国全体とか……。たとえば、この間、総選挙がありましたけれども、どんなアクションがあった時に国民のハピネスが上がるのか、また下がるのかということも測ってみたいですね。

堀江 それは、面白いですね。

矢野 指数を可視化して、いろいろと議論をしていくと、民主主義もまた違ってくるのかなとも思います。

堀江 他にこういうことをやっている会社とか研究所ってあるんですか?

矢野 ウェアラブルな個人向けのセンサーは最近出てきましたよね。たとえば、腕につけて歩数を測るとか、運動量を測るとか。ただ、我々のように組織的にもう少し深く踏み込で、KPI(重要業績評価指標)に変換するところまでやっているところはないんじゃないかと思います。そして、ハピネスまで行き着いたところというのは……(笑)。

堀江 そうですね。『ソニー』もウェアラブルセンサーの解析みたいなことをやっているんですけど、それは、たとえばテニスのラケットにセンサーをつけると、どういう角度で打っているとか、スピンがどれくらい効いているとかを解析してくれるんです。それで、「こういうふうにしたら上手くなるよ」というレッスンをするソリューションなんですけど。

矢野 なるほど。

堀江 当然、ゴルフクラブの先にもつけられるし、いろいろな応用が効くって言ってましたね。

矢野 これからは、当然、そういう方向に行くでしょうね。

堀江 ほかにもベンチャーで、靴につけるセンサーを作っていて、腕につけるよりももっと多くのデータが取れるって言ってましたね。たとえば、ランニング時の走り方などが詳しく解析できるって。水泳選手もゴーグルにつければ、泳ぎ方がわかるだろうし……。そういうスポーツ分野では、かなり始まっていますよね。

堀江貴文 矢野和男 ホリエモンWITH

矢野 スポーツはわかりやすいですよね。基本的にスコアをつけるので、そのスコアと比較することで、いろいろな要素を数値化できますから。

堀江 こういうのをプロ野球とかにも導入してほしいですよね。

矢野 ああ、それは面白いかもしれません。

堀江 プロ野球とかプロサッカーとかは、明確なデータが出そうですね。

矢野 実は以前に、プロサッカーチームの柏レイソルの選手たちにつけていただいて、ふだんの生活も含めて分析したことがあります。

堀江 何かありました?

矢野 普段の生活行動がグラウンド上の行動に関係があることがわかりました。あとは、“街コン”で使っていただいたこともあります。

堀江 街コンでもやったんですか(笑)。

矢野 はい(笑)。

堀江 どんな結果が出たんですか?

矢野 それは、どういう男性とどういう女性の相性が良かったということがわかりましたね。加速度センサーがついているので、誰と誰が対面している時に加速度がどう動いているのかということを分析しました。

堀江 結構、やわらかいデータも取っているんですね。

矢野 そうですね。

堀江 この研究は、何人くらいでやられているんですか?

矢野 どこまで入れるかによるんですけど、こうした社会情報系のビッグデータを分析している分野ですと50名くらいですかね。

堀江 50人か……。デカい会社は、さすがにすごいですね。

矢野 それに10年待ってくれたという懐の深さもありがたかったですね。この研究所の最近の大きな成果に「ATM用の指静脈認証」があるんですが、あれもこの研究所の生体医療とかをやっているチームと、パターン認識をやっているチームで「指の静脈で何か認証できないか?」というところから始めたと聞いています。たしか、それが15年以上前だったと思います。

堀江 う〜ん。そうなんですね。

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