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集束超音波で触れる空間を作り出す。 篠田裕之の考える触覚フィードバックの未来とは 後編

ホリエモンWITH 堀江貴文 篠田裕之

<前編はコチラ>

触覚機能を持ったスマホの未来

篠田裕之(以下、篠田) 触覚の例で言うとね、最近すごいインパクトがあったものとして、テクタイルツールキットっていうのがあるんですよ。慶應大学の若い方たちが作ったもので、糸電話と同じことをやるんだけど、マイクロフォンみたいな振動のセンサーを一方の紙コップの裏につけて、もう一方の紙コップの裏にバイブレーターをつけて、片側で拾った振動をもう片方で再現するってだけなんですよ。全然大した事ないような感じですよね。でもこれがすごくて、ビー玉とかザザザザーって注いでガラガラって回すと、単純にその振動を再現してるだけなんですけど、本当にリアルにここでビー玉がぐるぐるって回ってる感じがしちゃう。

堀江貴文(以下、堀江) なるほど。

篠田 仕掛けはすごく簡単なことで、誰でもやってみればできるんじゃないかって思うようなことなんですけど、それにみんな驚いてるんですよ。振動だけでこんなに伝わるんだなって。そういう感覚って口で言ったってどうにも伝わらないです。今、こう言ったってもどかしいですよね。

堀江 まあまあ、なんとなく感じはわかりますけどね。

篠田 そんなの何が面白いの?っていう人は多いんですけど、実際に触るとほとんどの人は、エッ!て驚くんです。でも簡単なように見えて本気で触覚を伝送しようという気持ちでやらないと、実はそこまでいかないんです。振動体として普通に売られてるのは効率よく振動を発生するために、1つの周波数、共振周波数だけでしか振動できないタイプのバイブレーターなんですね。スマホについてる呼び出しでブーッとなるようなね。これでやったって面白くもなんともないんですよ。

堀江 へー。

篠田 それをちゃんと音声とかと同じようにある程度広い数百ヘルツぐらい、低周波から数百ヘルツぐらいまで広い帯域をちゃんと再現できるバイブレーターを使うと、ものすごいんです。

 ホリエモンWITH 堀江貴文 篠田裕之

堀江 そういうバイブレーターがあるんですね。

篠田 そうですね。

堀江 そのマルチ周波数のバイブレーターがスマホについたら、いろいろできそうですね。

篠田 そうですね。でも現状では、消費電力が大きかったりするので…

堀江 でもスマホに載るってなると、消費電力を下げるための努力はするでしょ。

篠田 それはけっこうみんな各社やってると思いますね。韓国とかアメリカとかやってますね、日本もやっています。

堀江 集束超音波で触覚を発生させるっていうのは何年後かにスマートフォンに載ってるかもしれないですね。

篠田 今の装置のままだと無理なんですけど、不可能な話ではないとは思いますね。ただ、その時にスマートフォンっていう形になってるかどうかっていうのはちょっとわからないですけどね。

堀江 スマホ以外の形というと?

篠田 私の1つの仮説として、これはまだ技術的課題はたくさんあるんですけど。スマホって落としたり失くしたりしますよね。例えばリストバンド型の装置で物の動かし方がどうかっていうのを触覚で教えてくれたら。他にもいろいろ用途、機能があって、本当に便利であればみんな常に身につけますよね。それが普及してくると、たぶん今までのスマホの機能をそれに組み込もうというふうに逆転するときが来ると思うんですね。そうするとスマホは落とさないものになりますね。手で持つものではなく、腕にはめているのが当たり前で、それが今度は触覚にも働きかけてくるっていうのは、1つのありうる姿じゃないのかなと思っています。実は私たちはそういうものの具体的な姿を示していきたいと思ってるんですけど、それはまだやってる途中ですね。

堀江 やっとだから、そういうところまでみんな頭がまわるようになってきたってことなんですかね。さっきの飽和の話じゃないですけど。

篠田 やっぱり順番があって、一度飽和してみないとたぶん挫折するんじゃないですかね。そこまで走り切れないっていうか。

堀江 うん。

ホリエモンWITH 堀江貴文 篠田裕之

篠田 あと大学にいるとバーチャルリアリティって分野に触れる事が多いのですが、バーチャルリアリティっていう概念自体は相当古くからあって、研究室ではずっとやってるんですよね。今になってバーチャルリアリティって普通に浸透して実際にいろんなところで見る技術になってるわけですけど。

堀江 バーチャルリアリティはそうですよね。あれもやっぱりスマートフォンのセンサーがよくなったっていうのが大きいみたいですけどね。

篠田 スマホで簡易なヘッドマウントディスプレイができちゃうとか。

堀江 そう。できちゃうっていうのがやっぱり大きかったみたいですね。

篠田 大きなニーズが要素技術を進歩させ、その進歩のおかげでバーチャルリアリティのような新しいシステムが出て来れるようになる。すると今度はそれが次の要素技術の牽引力となる、ということの繰り返しですよね。そもそもスマホが作れるようになったっていうのも要素技術があってこそです。やっぱりスマホが出てくる数年前だとインパクトのあるものはできないんですよ。カメラや液晶の性能とか制約とか、バッテリーの保ちとか、コンピュータや、電子回路の技術の水準が不十分だったので。

堀江 そうですね。低消費電力のCPUの性能が上がったっていうことですね。

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Photograph/Edit/Text=柚木大介