WITH

「深海生物のメカニズムでイノベーションを起こす」 海洋研究開発機構・出口茂が考える 極限環境を使った最新技術とは?後編2/2

ホリエモンWITH 堀江貴文 出口茂

ナノエマルションは多くの業界から注目を集めている

堀江 JAMSTECさんもやっぱり独立行政法人なわけですから、「これからは自分たちで稼ぎなさい」みたいなことを言われているわけですか?

出口 そう言われても、現実的にはなかなか難しいですよね。ですから、今、僕らがやろうとしているのは「画期的なイノベーションの元になる基礎研究の結果を出すこと」です。「面白いメカニズムを持っている深海生物を見つけて、それを何かの課題の解決に結びつく可能性を探る」ところまでが僕らの仕事だと思っています。

堀江 今、何か面白い研究はあるんですか?

出口 今、僕らがやっているのは「ナノエマルション(ナノ乳化物)」です。海底は基本的に太陽の光が届かなくて冷たい場所なんですが、たまに熱水噴出孔といって温泉が湧いているところがあるんです。これは、地上の温泉がたまたま海底にあるようなものです。温泉の熱源ってマグマだまりですよね。地上からのマグマだまりの距離と、海底からのマグマだまりの距離を比べると、海底のほうが近いので噴出孔から出てくる水の温度ってすごく高くて、400度くらいあるんです。

堀江 すごい。

出口 でも、高い圧力がかかっているので沸騰はしない。そうした高温高圧の環境になると水の性質って変わるんです。例えば、水と油って混ざらないものの典型ですよね。でも、高温高圧だと水と油は自由に混ざります。そのため、地球で最初の生命が生まれたのは、こうした特殊な環境での科学反応だったと言われています。そこで僕らは、こうした特殊な科学反応が起こる環境で新しい材料の開発ができないかと考えているんです。特にJAMSTECは高温高圧の環境を作り出すのはお手のモノなので、そこで何か技術開発ができないかと思っています。

堀江 何かできそうですよね。

出口 「水と油をなんとか混ぜろ」っていう要請は、ほぼすべての産業分野からきているんですよ。例えば牛乳って白く濁ってますよね。あれは乳脂肪が1ミクロンくらいの粒になって水中に浮いているからなんです。それを100ナノミクロンくらいに小さくするというのが、ナノエマルションの技術なんですけど、小さくすると牛乳は透明になるんです。

DSC_9747

堀江 透明な牛乳ってすごいですよね。それに、そんなに小さくできるんですか?

出口 はい。僕らはそれを10秒でできます。高温高圧で水と油を混ぜておいて、それを1秒間に一気に200度くらい冷やすんです。

堀江 すごいですね。

出口 そういう技術は、例えば化粧品に使えたりします。多くの化粧品は濁っていますよね。あれは、中に入っている油滴のサイズが大きいからです。でも、油のサイズを小さくすると透明にすることができるんです。

堀江 それは、まだどこもやってないんですか?

ホリエモンWITH 堀江貴文 出口茂

この続きは3/16(月)配信のメルマガで全文ご覧いただけます。登録はコチラ

Photograph/Edit=柚木大介 Text=村上隆保