WITH

マーケティングとITを駆使し、「便利で安いから乗りたい!」に変えていく。WILLER GROUP 村瀬茂高は、未来の公共交通を考える!後編1/2

DSC_0693

<前編はコチラ>

フランスのように“ショッピングパス”の導入もある

村瀬 フランスは公共交通がすごく進んでいて、20年くらい前からLRT(ライトレールトランジット・電気で走行する次世代路面電車システムなど)を基軸とした街づくりを進めていたんです。そのため、フランスでは人口15万人ほどの街(日本では東京の青梅市規模の街)にもLRTが走っていて、たくさんの人が公共交通を利用できる仕組みがしっかりとできあがっている。日本も実は、同じようなことを言っていた人がいたんですけれども、結果的に道路作りを進めて車を便利にする方向に行ってしまった。

堀江 ああ。

村瀬 だから、今、京都丹後鉄道の沿線人口は約34万人が生活しているんですけれども、フランスのような公共交通はほとんどなくて、この京都丹後鉄道も年間7億円の赤字が出ているんです。

堀江 7億円ですか。

村瀬 すごい差ですよね。でも、これは当たり前のことで、フランスは公共交通を利用するほうが便利だから、みんな公共交通に乗る。日本はマイカーを使うほうが便利だから、みんなマイカーを使うわけです。そこで僕は、フランスに比べて出遅れてしまっている日本の公共交通をいかに便利にしていくかということに挑戦してみたいんです。

堀江 どうやって便利にしていくんですか?

DSC_0736

村瀬 フランスの場合でいうと、ますLRTが基軸になっていて、そこから路線バスでいろいろな地域に行けるように連携がとれています。

堀江 LRTとバスが完全に連携しているんだ。

村瀬 そうです。なぜ、それができるかというと、鉄道会社とバス会社が同じだからです。フランスも上下分離方式で、公募によって運行会社が決まるんですが、公募する時に鉄道権とバス権の両方を得ることができる。だから、LRTとバスの最も便利な組み合わせを作ることができる。これが公共交通を便利にするための大きな理由のひとつだと思います。

堀江 その、いろいろなところに行くバスってどれくらいの大きさなんですか? ミニバスですか?

村瀬 いや、一般的な大きさのバスですよ。ミニバスは見たことがないですね。逆に需要が多いところは連節バス(車体が2つ以上繋がっているバス)が走ってました。それで、LRTが駅に着くと、駅の反対側にバスが止まれるような構造になっていて乗り換えが楽だったり、あと何分でバスが来るという表示もあって、乗り換えのストレスがほとんどないんです。

堀江 それを人口15万人の都市とかでやってるんですよね。

村瀬 そうなんです。

堀江 僕、昔から不思議に思っていたことがあるんですよ。僕は九州の田舎に住んでいたので、家の近くのバス停に1日6本くらいしかバスが通っていなかったんです。だから、メチャメチャ不便でしょうがなかったんですけど、あれはなんであんまり数を増やさなかったんですかね。

村瀬 日本の交通インフラって、「今乗っている人=需要」で、「空いている席=乗る人がいない」というのが基本的な考え方なんです。だから、乗る人が減れば便数を減らすし、乗る人が増えれば便数を増やす。それで、需給バランスを維持してきたんです。だから、人が乗らなければどんどん不便になっていくんです。

DSC_0800

堀江 そうでしょうね。

村瀬 でも、僕らは、今、空いている席にもレベニュー(収入)があるんじゃないかと考えるんです。『WILLER EXPRESS』は、バスの平均乗車率は約80%です。そのために何をやっているかというと、レベニューマネージメントをやっています。簡単にいうと「空いている席は運賃を下げて売る」ということです。

堀江 でも、それは公共交通ではやりにくいですよね。例えば、普段使いの足で、鉄道に接続するバスの運賃をスライドさせるっていうのは、なかなか難しいですよね。

村瀬 ええ。それで、フランスですでに導入されているシステムが“ショッピングパス”です。例えば、ラッシュ時を除いた10時から16時までは非常に安い運賃で、何回乗ってもいい。

堀江 ショッピングバス?

村瀬 ショッピングパスです。1日乗り放題。10時から16時までのショッピング用の1日券みたいなものです。

堀江 あー、パスね(笑)。それは鉄道やLRTとセットなんですか?

村瀬 そうですね。鉄道だろうが、バスだろうが、LRTだろうが、どれだけ乗ってもいい。弊社でもそういった路線や地域ごとのレベニューマネジメントを検討しています。

堀江 なるほど。