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「気泡とプラズマで、がん細胞を死滅させる」世界が注目する芝浦工大 山西陽子の研究とは?後編1/2

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<前編はこちら>

研究成果は世界中に広がり、米や中国からの問合せもある

堀江 いやあ〜、ものすごく詳しい説明ありがとうございます。

山西 すみません(笑)。どこかで止められるかなと思ったんですけど、どこで止めていいのかわからなくて、とりあえず一通り話しちゃいました(笑)。

堀江 それにしても、針なし注射器は利用できる範囲が広いなあ。ところで先生は、もとはどちらの大学にいらしたんですか?

山西 東北大学に4年、その後に名古屋大学に3年いて、芝浦工業大学に来たのが2年前です。ポスドク(博士研究員)ってけっこう不安定なので、パーマネントになるまでは研究室をウロウロしちゃいますね。

堀江 僕にはその仕組みがいまいち理解できないんですよ。そもそも研究の成果って、誰がどうやって判断するんですか?

山西 日本では論文の数で判断されることが多いですね。あとは研究費をどれだけ持ってきているかとか……。

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堀江 山西先生はどこから研究費を持ってくるんですか?

山西 私は主に科学技術振興機構(JST)の、個人型の研究プロジェクトからです。

堀江 そこからもらえる研究費は、ぶっちゃけ、どれくらいなんですか?

山西 個人型の場合は、3年半で4000万円くらいです。若手の研究者が学会に行ったり、共同研究するための費用としては十分なんですが、研究室で学生を持ったりしているとかなり厳しい金額です。

堀江 素朴な疑問なんですが、こうした山西先生の研究成果はどこが使うんですか?

山西 使うとなると、特許をとって、どこかの企業と一緒になるような形ですね。でも、この技術はまだ原理を確認できた段階なので、臨床試験にも全然至っていません。特許は申請していますが、企業の方と一緒に話を進めていくのは、その次の段階ですね。

堀江 じゃあ、かなり新しい技術だということですね。

山西 はい、かなり新しいです(笑)。もうちょっと実験してから出した方がよかったかもしれません。実は、「ちょっと早く出しすぎたかもしれない」と後悔しているんですよ。1年くらい待った方がよかったんじゃないかと……。

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堀江 「待った方がいい」っていう考え方は、捨てた方がいいと思いますよ。

山西 捨てた方がいいんですか?

堀江 こういうのは競争だし、発表するとその情報は、一瞬で世界中に伝わって世界中が注目するようになりますよね。

山西 そうですね。世界中に広がりました。今、アメリカや中国からメールがたくさん来ています。

堀江 今、世の中は、それぐらいグローバルになっているんですよ。当然、同じような研究や追試をやるところも多いでしょ?

山西 そうなんです。だから焦っています。

堀江 そこはパワープレイをやるしかないんですよ。もし、「何十億かけてその研究をやりましょう」という企業などがでてきたら、絶対に一緒にやるべきです。お金をかけて人をたくさん雇って、研究を加速させて実用化まで持っていくことが必要です。

山西 そうですよね。