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「宇宙の始まり」「人間はなぜ存在するのか」を研究 「Kavli IPMU」機構長・村山斉が語る 宇宙研究の最先端とは?後編2/2

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国際リニアコライダーの建設が日本のブレイクスルーになる

村山 でも、歴史的には個人のお金をつぎ込んできた研究って、すごく多いじゃないですか。例えば、デンマークのティコ・ブラーエっていう天文学者は、膨大な天体観測のデータを残して天動説を覆す証拠を見つけましたが、彼はデンマークの王様に雇われていたんですよね。

堀江 だから僕は、国から研究費が与えられるような状況は、そう長くはないと思ってるんです。国が儲かって経済成長していれば、ジャブジャブお金が研究に回ってくるんですけれど、経済がダメになると途端にお金を生まない研究は……。

村山 切り捨てになりやすいですよね。

堀江 むしろ、昔の王侯貴族のようなパトロンがいるほうが研究には都合がいい。パトロンが「その研究、面白いね」と判断してくれれば、何十億円という資金を一気にバーンとぶち込んでくれますから。現代で、それをやってるのが『Google』とかなんですよね。

村山 あ、カブリ財団もそうですよ(笑)。もともとカブリさんが持っていた個人のお金で財団を作って、いろいろな研究をサポートしているわけですから。

堀江 そうですよね。そういう人がドンドン増えてほしいですよね。

村山 本当にそう思います。そういえば、つい最近、バークレーの研究所の同僚が、すごい面白い研究をしたんですよ。国会図書館などに行くと、昔の古いレコードがあるじゃないですか。すごいボロボロで、ちょっと触っただけでも壊れそうなやつ。だから、プレイヤーにかけることもできない。だけど、そこにはすごく貴重な音声が残っているわけです。

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堀江 ええ。

村山 それで彼は、そのボロボロになっているレコードにレーザー光線をあてて、跳ね返ってきた微妙な光を検出する技術を開発したんです。レコードって溝の中に凸凹があるだけですから、その凸凹をきちんと読み取ることができれば、別にプレイヤーにかけなくてもいいんですよ。そして、貴重な音声をすべて再現した。でも、それが全然、儲けになってないんですよね(笑)。

堀江 そうでしょうね(笑)。

村山 もし、これが、始めからビジネスにしようということで研究していたら、たぶん、すごいお金になっていたと思うんです。

堀江 だから僕は、そういった研究とビジネスをうまくつなげていきたいと思っているんですよ。研究にとって一番大事なのは、サステナビリティ(持続可能性)ですからね。

村山 研究は時間がかかりますからね。

堀江 そうなんです。それなのに成果がすぐにでないと、すぐクビになっちゃう(笑)。

村山 そうそう。そいえば、今、個人的になんとか実現してほしいと思っているのが、ILC(国際リニアコライダー=直線衝突型加速器/岩手県の北上山地が建設候補地のひとつになっている)の建設なんですよ。CERN(欧州原子核研究機構)が、LHC(大型ハドロン衝突型加速器)で陽子と陽子をぶつける実験を進めているんですが、ILCならダークマターが作れるかもしれない。

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Photograph/Edit=柚木大介 Text=村上隆保