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「面白い」から「楽しむ」へ。『NHN PlayArt』稲積憲が挑む、スマートフォン時代のマンガサービス 前編1/2

ホリエモンWITH 堀江貴文 稲積憲

稲積憲(Ken Inazumi)
NHN PlayArt 株式会社代表取締役社長
1974年生まれ。早稲田大学卒業後、『リコー』、『ソニー』、独『ローランド・ベルガー』、米『アリックスパートナーズ』を経て、2011年『NHN Japan(現LINE株式会社)』に入社。2013年『NHN Japan』最高執行責任者(COO)に就任。同年8月『NHN PlayArt』 に社名変更し、2014年2月から代表取締役社長に。

読者と作家がコミュニケーションを取りながら作品を作る。それが紙のマンガとの違い

堀江貴文(以下、堀江) 『comico』(スマホ向けの無料マンガアプリ)について、いろいろとお聞きしたかったんですよ。旧NHNグループの会社って、リリースするアプリがいい感じできているじゃないですか。comicoも相当伸びてきている。マンガアプリって、『マンガボックス』(DeNA)のほうが先でしたっけ?

稲積憲(以下、稲積) いや、ローンチは我々のほうが1、2カ月早かったんですよ。comicoのスマートフォン版を出したのが2013年の11月で、DeNAさんがマンガボックスを出されたのは12月でしたから。

堀江 でも、マンガボックスのほうが最初は伸びてましたよね。

稲積 そうですね。マンガボックスさんは、すぐにテレビでのプロモーションを始められたんですよ。ですので、ユーザーさんの間で一気に認知が広がったのではないかと思います。我々は有名な作家さんの作品はないですしオリジナル作品ばかりなので、大々的なプロモーションをするよりもまずは地道にやっていこうと決めていました。

堀江 うまくいくと思ってました、最初?

稲積 いってほしいと思ってました。でも、最初の2カ月は厳しかったですね。ユーザー数も伸びなくて……。

堀江 comicoって、縦スクロールじゃないですか(編集部注:マンガボックスは横スクロール)。人気漫画家さんだと、縦スクロールっていうだけで拒否感がハンパないと思うんですよね。

ホリエモンWITH 堀江貴文 稲積憲

稲積 そうですね。

堀江 縦スクロールにしたのは何でですか?

稲積 スマートフォンで読みやすくしたかったんです。

堀江 やっぱり、そこにこだわってたんですね。

稲積 ええ。さっき、「旧NHNグループが……」っておっしゃってましたけど、NHN Japanは2000年にPCでハンゲーム(オンラインゲームのポータルサイト)のサービスを開始して、ブロードバンドの普及の波にのって大きくなったんです。その後2008年にフィーチャーフォンで「ハンゲ.jp」というサービスもリリースしたんですが、その時にPCの財産も活かすことに少し固執してしまった。でも、DeNAさんは最初からモバゲーをフィーチャーフォンにフォーカスしてサービスされていました。それで、大きな差ができてしまったんですよ。

堀江 つまり、ハンゲームはガラケーへの対応を失敗したと。

稲積 そうですね。やっぱりデバイスの転換ってすごく大事で、中途半端にやってしまうとユーザーの満足度は得られないと思うんです。その失敗を生かし、スマートフォンに最適化したサービスを作ろうということでcomicoを開発しました。

堀江 だから、僕は縦スクロールをやった時にすごいと思ったんですよ。それまでは、スマホでサクサク読めるマンガアプリがなかったですから。やっぱり、漫画家さんの抵抗とかもあったと思うんですけど……。

稲積 comicoの場合はある意味、有名な作家さんがいなかったり、しがらみがなかったからできたんだと思います。

堀江 それとコメントシステムもすごいなって思って。“いいね”がいっぱいつくコメントが上にくるようになってるし。comicoが伸びている理由のひとつは、そこにあるんじゃないかな。

稲積 これはハンゲームの運営経験が生きてまして。コンテンツの面白さで引きつけても、ユーザーさんは、どこかでドロップしてしまうことがあるんです。そこで、ハンゲームはアバターサービスを中心としたコミュニティを形成して、最初は無料ゲームをしながらコミュニケーションを取るということを中心にしていました。comicoでも、マンガ単体だとなかなか残留してもらえないと思って、コミュニティの要素を取り入れようと思ったんです。

ホリエモンWITH 堀江貴文 稲積憲

堀江 それでコメントシステムを導入したと。

稲積 そうですね。

堀江 漫画家さんも見てるんですよね、あのコメント。

稲積 かなり見てます(笑)。

堀江 だから、やっぱりコミュニケーションをすごく大事にしてるっていうのが、大きいわけですよね。

稲積 そうですね。読者の方々も感情移入しますし。

堀江 マンガに対する?

稲積 ええ。それに「自分が育ててるんだ」っていう気持ちも芽生えるのかもしれません。

堀江 パトロンみたいな感じでね。でも、それって、これまでのコミックスにはなかった概念ですよね。

稲積 そうですね。それだけ漫画家さんとの距離が近いんだと思います。漫画家さんのコメントも載りますし。例えば「これ、ちょっとおかしいですよね」みたいなコメントがあると、それを漫画家さんが読んで「ここを修正しました」みたいなことがあったり。

堀江 すごいな。

稲積 そこが紙との違いなのかもしれませんね。

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