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「開腹手術なしで治療ができる」 自治医大・山本博徳教授が語る 小腸の内視鏡検査・治療の最先端 前編1/2

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山本博徳(Hironori Yamamoto)
自治医科大学消化器内科学教授、医学博士
1960年生まれ。高知県出身。1984年、自治医科大学卒業。1990年、米国メイヨークリニック、テキサス大学に臨床留学。2005年、自治医科大学助教授。2007年、自治医科大学教授。2009年、シンガポール国立大学客員教授。2012年、自治医科大学附属病院消化器センター、センター長に就任。ダブルバルーン内視鏡の開発者。これによって、これまで検査が難しいとされてきた小腸の奥まで診療・治療ができるようになった。

「少ない」と言われていた小腸にも、最近は疾患が増えている

堀江貴文(以下、堀江) 山本さんは、これまで難しいとされてきた小腸の内視鏡を開発されたんですよね。小腸って、たしか他の器官と比べて疾患が少なかったような……。

山本博徳(以下、山本) そうですね。昔は疾患が少ないと思われていました。でも、今は小腸の検査ができるようになりましたし、少ないと言われていた昔よりは多いという感じです。

堀江 少ない理由はなんですか? 活動が活発だからですか?

山本 それが明確には解明されていないんですよ。「なぜだか小腸はあまり病気にならないようにできている」としか言いようがない(笑)。「胃」は食べたものがすぐに入るし、酸も多い。ピロリ菌の感染もある。「大腸」は消化された後の老廃物が溜まっているので化学的な刺激が多いし、発がん性を持った物質もたくさんある。ところが小腸は、胃酸によってきれいにされたものが比較的早く流れてくるわけです。

堀江 ああ。

山本 小腸の機能のすごさって、通過する時間は短いんですけど、その間に消化して、吸収する。例えば、夜食べたご飯は朝には大腸に行っちゃってるので、小腸は空なんです。だから、前日に夕食を食べても、翌朝、小腸の検査ができる。

堀江 そうなんですね。

山本 それだけのスピードで動いているし、通っていくものに発がん的な刺激が少ないので、ある意味“守られている”のかもしれません。そのため、比較的、小腸は病気が少ないんだと思います。

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堀江 なるほど。

山本 小腸の病気は大きく3つのカテゴリーに分けられます。1つめは炎症を起こす「潰瘍」。最近、増えているのは「クローン病」ですね。

堀江 クローン病って、原因は何なんですか?

山本 原因は、まだわかっていないんですよ。

堀江 じゃあ、何だと考えられるんですか? 免疫疾患とか、そんな感じですか?

山本 免疫疾患が感染が関与している可能性も十分にあります。

堀江 ウイルスとかの感染ですか?

山本 そうですね。例えば、十二指腸潰瘍も昔は感染症とは考えられていませんでしたが、ピロリ菌の感染が関与していたことがわかったように、何らかの感染が関与している可能性もありますね。

堀江 なるほどね。

山本 そして、2つめは「腫瘍」。小腸は胃や大腸と比べて、がんではないタイプの肉腫が比較的多い。たとえば「GIST(Gastrointestinal stromal tumor)」と言われる間葉系の特殊な腫瘍があります。カハール介在細胞という筋肉と筋肉の間に介在する細胞由来で、コブのような形態をしているんです。それが転移するので、悪性腫瘍の1つではあります。他には「ポイツ・ジェガーズ症候群」という遺伝性の特殊な病気があって、これは小腸にポリープがたくさんできる。そのため腸重積を起こしやすく、昔は何度も開腹手術を受ける人が多かったんですが、今は内視鏡でポリープを簡単に取れるので、お腹を切らなくてすむようになりました。

堀江 へー。

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