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「太陽系の近くに生命居住可能惑星はある」 天文学者・成田憲保助教が語る 系外惑星観測の未来とは?前編1/2

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成田憲保(Norio Narita)
天文学者、アストロバイオロジーセンター特任助教。
1981年生まれ。千葉県出身。東京大学大学院博士課程修了後、日本学術振興特別研究員、国立天文台研究員を経て、国立天文台特任助教に。2015年から現職。専門分野は太陽系外惑星の観測と装置開発。太陽以外の恒星にある惑星がその親星の前を通過する食の現象を用いて、惑星の大気や起源を調べている。

「酸素がある=生命が存在する可能性がある」ではない

堀江貴文(以下、堀江) 僕はロケットの会社をやっているので、目的地としての系外惑星に非常に興味があるんですよ。それで「酸化チタンでできた星」に関する記事が出ていたので、一度、お会いしてお話を伺ってみたかったんです。

成田憲保(以下、成田) そうなんですか。ありがとうございます。実は、この『アストロバイオロジーセンター』は今年の4月に立ち上がったばかりの研究機関で、目的は「生命居住可能惑星を探して、生命居住の可能性を探ること」です。ここで我々は「太陽系外惑星に“第2の地球”と呼べるものがあるのか。そして、そこには生命が存在するのか」などを調べています。

堀江 そうなんですね。

成田 これまでは「地球に酸素があるのは生命が光合成をしているから」で、「酸素が見つかれば生命が存在する可能性がある」と言われてきました。しかし、酸化チタンが地表に露出していて、そこに水があれば光化学反応で酸素が発生します。だから「酸素があるだけでは生命が存在するとは言えない。間違える可能性がある」ということを指摘した論文を発表したんです。それが記事になったんですね。

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堀江 ああ。

成田 そもそも、これまでは「酸化チタンで非生物的に酸素が発生して、惑星に酸素の大気みたいなものを作ってしまう」ということを考えた人がいなかった。そして、「表面積でどれくらいの量の酸化チタンがあれば、地球のような酸素大気の環境になるのか」という研究をした人もいなかったんです。

堀江 実際には、表面積でどれくらいの量の酸化チタンが必要なんですか?

成田 今の地球の年齢と同じように40億年くらいの年月をかけるのであれば、北海道より狭い面積で十分です。そのくらいの範囲に酸化チタンがあれば、今の地球と同じくらいの酸素大気を作れます。

堀江 え、そうなんですか。

成田 はい。

堀江 酸化チタンそのものは、どうやってできるんですか?

成田 酸化チタンは、超新星爆発など星が死ぬ時にダストとしてまき散らされたりします。太陽系の岩石惑星や衛星とかにもかなり豊富に含まれていて、宇宙では、結構ありふれた物質なんですよ。ですから地球にもあるし、アポロ16号が採ってきた月の石にも含まれている。火星にあることもわかっている。例えば、夏に使う日焼け止めや舞台などで顔に塗る白いドーランなんかの成分にもなっていますからね。

堀江 ああ、そうですよね。逆に言うと、今度は「酸素以外の証拠」を見つけないといけなくなったと。

成田 そうですね。酸素だけでは生物由来か非生物由来かがすぐに判断できない。なので酸素以外の証拠を見つけるか、生物による酸素発生の反応と非生物による酸素発生の反応ではそれぞれ違った副産物が発生する可能性があるので、それを調べるということを考えています。

堀江 副産物って何ですか?

成田 それを今、検討しているところです。“酸素と何が見つかれば生命が存在すると言えるのか”ということがまだハッキリとわかっていないので、生命科学の先生方と一緒にそこから考えていかなくてはいけないんです。

堀江 そうですよね。

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