WITH

ホリエモンWITH「新しい体験を創り出す」ヴァーチャルを超えた体験を現実に。代替現実システム(SR)研究者、藤井直敬 その1

fujii1

「過去に限ればタイムマシーンにもなりうるんです」という驚きの言葉を放つSR研究者・藤井直敬氏。VRを超えた仮想現実体験を作り出す、「代替現実システム(SR)」とは何か。その技術の本質と未来をホリエモンが探っていく。

ytv
SR(代替現実システム)は現在と過去を区別なく体験できるシステム。まずはこちらの説明映像をご覧ください。

 

自分という境界を越えて脳で世界と繋がる。

堀江貴文(以下、堀江) SR(Substitutional Reality=代替現実システム)で体験する映像って、気がつかないうちに現実と認識してしまうというか、通常のVR(ヴァーチャルリアリティ)とはまた違ったものじゃないですか。ここに至るというのは、元々こういうのに興味があったんですか?

藤井直敬(以下、藤井)  元々SFが好きだったんですよ。昔から、いつかは誰かがこういう世界を作ってくれると期待してたんです。でも、大人になっても、まだヴァーチャルはヴァーチャルでしかなかったんですね。「VRで本当に騙せちゃう世界」というは、誰も上手く作っている人がいなかった。だからというか、結果的に自分で作っちゃったんですね。

堀江 SRを作り始めた直接的なきっかけってなんだったんですか?

藤井 僕は元々は研究者ではなくて医者だったんです。当時は普通に研修医として眼科で働いていまして、そこから大学院時代の研究がきっかけで脳の方へ行ったんですね。そして自分の研究室を立ち上げた。あるとき研究員の脇坂君と鈴木君が「藤井さん、僕らちょっとこういうのを作りたいんですけど、カメラ買ってもいいですか?」ってやって来て。それで、パノラマカメラというのを買ったんですね。でも、僕は正直そのとき彼らの話をあんまり詳しく聞いてなかったから、何が出来上がるか全く分からないまま「買っても良いよ」と言って忘れてた。すると3ヶ月後、彼らはそれを使って今のSRの原型を作ってきたんですね。僕は自分で体験して、びっくりしちゃって「これはいけるんじゃないか!」ということになって本格的な開発がスタートしたんです。

堀江 理研にはどのくらい?

藤井 自分のチームを作ったのが2008年からで、こちらは6年目になります。SRは原型ができたのが4~5年前ですね。SRとは別で元々はサルの脳に電極を入れて実験していたんですよ。

堀江 脳に電極を入れたりもしてるんですね。今もしてるんですか?

藤井 今もやってますね。もしかすると興味があるかもしれないんですが、「Brain Machine Interface(BMI)」を使った「考えただけで物が動かせる」っていう、そういった研究もやってます。最初はサルの研究がメインだったんですけど、今はSR と半々で。

F22

堀江 そのBMIの分野って、脳波をモニタリングしたりして、すでに物を動かせるようになっていたりするんですよね。この脳波って解像度みたいなものがあったりするんですか?わりとクリアに取れるというか。

藤井 やり方にもよるんですけど、脳波から取り出せる情報量はそんなに多くないんですよ。ノイズが極端に多いし。目玉を少しでも動かしたらもう脳波としては使えない。それ以上に脳からの情報量を上げたいと思ったら、開けるしかないですし。fMRIなんかだと時間解像度が低過ぎてBMIには使えないですね。

堀江 開けないやり方も今は発展してきてるんですか?

藤井 いや、開けないでできること、脳波だけではやっぱり少ないです。要は使い方ですね。脳波を使って意思を伝えることは出来るんですけど、現状では、「私は水を飲みたい」という一言で済むような簡単なことを伝えるにも、そこに至までにまだYES/NOの質問を何段階かに分けて伝える必要があるんですね。しゃべった方が遥かに早い(笑)から、BMIでどうしても脳波を使わないといけないっていうヒトは限られていますね。

堀江 BMIについては、これからある程度限界を迎える感じになりそうなんですか?

藤井 脳波は簡単に使えるので、道具としては残ると思います。さっきの話もそうなんですが、やはり「水をくれ」と、言えば一言で済むことを何ステップにも分けてやるのは非合理的なんです。それを必要とする人はすごく限られていますし、臨床的に応用できるところが少ないんです。そうすると産業にならないので、技術が発展していかないんですね。

堀江 脳に電極を入れるやり方は、産業になるんですか?

藤井 そもそも電極を入れるっていう事自体のハードルが高いんで難しい事は難しいんですが、できること自体はグンと増えます。例えば、腕が不自由な人がロボットアームをリアルタイムに動かすだとかもできるようになりますし。そういうことは脳波じゃできないですから。治療などに使う場合は、患者さんのメリットとデメリット、必要性やケースに合わせて選択していければいいと思います。

堀江 健常者が頭の中にインプラントを埋め込むという未来はないですか?その未来ちょっと見てみたいですけどね。脳で世界と繋がる感じ。

DSC_5950

藤井 それはしばらくはないですね。僕も自分という境界を越えて脳で他人と繋がるっていうのを自分自身で体験してみたいんですけどね。サルを使った実験そのものが海外で、特にヨーロッパではではできてくなってきてるのでなかなか…。いきなり人で試せないですからね。

堀江 やっぱりもうちょっと先ですね…

藤井 でも、逆に埋め込む技術を安全にするという開発の方向性はアリです。例えば、ピアスを空ける程度で埋め込めるデバイスが作れるのであれば、それは大丈夫でしょう。昔は脳そのものにグサッとささなければいけなかったのが、今は脳の表面にペタッと置くだけで使える電極もありますし、硬膜という脳を包んでる膜の外側に置くだけでできる方法もあります。骨は開くけど、脳は開かなくていいっていう中間の方法も研究されてきていますね。

堀江 硬膜外の電極でもいろんなことができる感じですか?

藤井 結構できますよ。

堀江 硬膜外だったら僕やってもいいかなって感じですけどね。

藤井 やりたいって人はいますよ。ちなみに今僕たちがサルの脳に入れている電極はフレキシブル基板なんですよ。PC開けたら入ってる、よくキーボードとか繋いだりする柔らかいフィルム状の配線がありますよね。あれと同じ感じの。

堀江 へぇそうなんですね。電極ってリモートコントロールできるんですか?ワイヤレス化もできます?

藤井 ワイヤレスもやればできます。

堀江 今の技術でもできますよね。あとは、給電の問題なのかな。

藤井 給電も非接触でできますよ。RFIDみたいな微細技術を使ったBMIなんかも10億くらいあれば基礎技術は確立できると思うんですけど、みんな興味が無いのかやろうって言うヒトもいないし、お金があまり降りてこないんですね。無線装置なんて既存の技術、枯れた技術でいいので、単純に作ればできるんだけど。ただ、それを実際に人に使うとなると臨床実験が必要なので、それにまたお金がかかるんですよ。でも実験室レベルであれば、RFIDみたいな微細電極を脳の中にばらまいてBMIとして使うとか出来そうな気がしますけど。頭蓋骨に小さな穴をあけてチューッとばらまく。親知らず抜くより簡単。誰かお金出さないですかね?

堀江 やばい!これ10億とか落として俺実験台に使ってよって言いたいくらいの感じになってきた(笑)