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ホリエモンWITH「新しい体験を創り出す」ヴァーチャルを超えた体験を現実に。代替現実システム(SR)研究者、藤井直敬 その4

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これが未来だ!という新しい体験を普及させていきたい。

堀江 富士山の頂上から直滑降してくるとか、そういうのはどうですか?エクストリームスポーツはRedBullがよくやってますよね。あと海用バージョン作って、面白そうなスポットでダイビング。NHKスペシャルとかでウミガメにカメラ付けたりとかやってますよね。あれもこれ使ってもらったらいいんじゃないですか?

藤井 いいですね。面白そう。実は、テレビだと視点がカメラの方向で固定されちゃうのでインターフェースとして好きなところを見られないっていう問題がありますよね。パノラマって今までいっぱい撮られてるんですけど、現状は体験できるインターフェースがウェブしかないんですね。

堀江 なるほど。結局、360度対応のインターフェースがないっていう…。

藤井 そうなんです。ただ、最近だとiPhoneなどのビューアーがあるんで、わりと自由に見れるようになってきたんですよ。撮影機材も安くて高性能なものが出てきて、段々と両方の技術が合わさってきてます。

堀江 いいじゃないですか。これから面白そうなことできるんじゃないですかね?じゃあ、そこの体験もいくつか作っていきたいな。

藤井 是非。どんどんVRをビジネスにしてもらいたいですね。ちなみに、いつぐらいからと考えてるんですか?

堀江 まだ何からやろうかって話なんですけれど、もしかしたらそれこそオキュラスリフトみたいなデバイスを作っちゃうかもしれないです。今はまだPCが必要ですから、それが必要ない方向で。

藤井 僕は簡易版のヘッドマウントは、スマートフォンでいいんじゃないかと思ってるんですよ。レンズ付けるだけだし。

堀江 3Dにもしないんですか?

藤井 そもそも、3Dにする必然があるかってところがちょっと難しいですね。まず、3Dのパノラマというものが存在しないので。SRは3Dじゃないけど、そこそこ奥行きを感じられるんでいいのかなと。

堀江 あれはなんであんなに奥行きを感じられるんですか?

藤井 うーん、それよくわかんないんですよね。ただ、自分が見ているのは現在ってのをまず信じてるから、積極的に疑わないんじゃないかな。疑い続けると疲れちゃうし、疑っても結局分からないし。本来だったら頭の位置を動かした時に見えかたが微妙に変わるはずだから、頭を動かしても見え方が変わらないSR映像は「おかしい」って思うはずなんですけどね。そういうモーションパララックスを僕らは普段あまり気にしてないってことなんでしょうね。

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堀江 SRの映像って2Dですよね?

藤井 仮想的な球面に貼り付けた2Dの映像ですね。仮説としては一つあって、SRのシステムって視野が狭いじゃないですか。実はその視野角の狭さが効いている可能性がある。「Oculus」もそうなんですが、球面に貼り付けたパノラマ映像は視野角が広いと周辺視野で球面感が出てきちゃうんですね。球面を感じると奥行き感がなくなってしまうので、ある程度狭い範囲しか見えない現状のSRは意外と悪くないのかもしれないですね。

堀江 もしかしたら、iPhoneのアダプタを300円くらいで作るのが一番いいんじゃないかって気がしたんですけど。

藤井 実はもうそれを作っているんですよ。価格もちょうど1000円でおつりが来るくらいで考えていて、もう試作品も完成してます。簡易的なヘッドマウントでパノラマ映像とかSRを楽しんだ人が、もっとクオリティの高いレベルの体験を求めてお金を払う仕組みを作りたいですね。まずは裾野を広げる啓蒙フェーズから始めたい(笑)

堀江 それ、クラウドファンディングでやりましょうよ。でも、日本だけだともったいないですね。僕、日本の「CAMPFIRE」ってサイトの顧問やってますけど、「Kickstarter」とかでやった方がいいですね。

藤井 そんなこと言っていいんですか(笑)?

堀江 いいんです。やっぱり、そっちでやった方がいいかなって思うんで。

藤井 一応、世の中には類似のアダプタもすでにあることにはあるんですが、6000円とかへたしたら一万円くらいしてしまうんですね。だから全然いけると思います。安い素材でガワを作って、それに拡大鏡のレンズを1枚入れればもう十分ですし。

堀江 それ、やりましょうよ。

藤井 是非やりましょう。

堀江 僕、今度これの雑誌版みたいなのを出すんですよ。臨場感を体験させるコンテンツ。それを雑誌形式で見せるってことなんですけど、そういうのを付録にしたいなって。

藤井 それ、いいですね。

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堀江 結構部数出ますしね。その記事と連動して「簡易型の没入式パノラマメガネ」みたいなのが付いてますってなったら、すごい話題になりますよ。

藤井 みんな体験しないと想像できないですからね。それまでには折りたたみ式にして付録に出来るようにしておきます!

堀江 いいの見つかった! もう第一弾はこれで。雑誌付録でお願いします。

藤井 グラビアなんかで使えば「お、本当にいるの?」みたいになりますし、そういう意味でもパノラマやるのは面白いと思いますよ。

堀江 パノラマグラビアですか?

藤井 触れないけど、色んな角度から見れて「グラビアアイドルがそこにいる?!」みたいなやつ。あと需要あるコンテンツとしてはホラーがありますね。基本的には、SRは情動というか、気持ちを高めるそういうコンテンツが向いてます。「エロ」と「ホラー」はどっちもそうなんです。

堀江 取調べとかにも使えそうですよね。被害者と直接会わせなくても、疑似体験させることで犯人の挙動を観察することができたり。

藤井 撮影しておけば、体験としてそれは作れますよね。犯人しか知らない場所をついつい見たりしてバレるとか(笑)心拍数なども計測しておいて、びっくりしてるとか観察できたらいいですね。それ、使える可能性がありますね。

堀江 …というように、色々なコンテンツを作ってみたいなって感じなんですよ。

藤井 僕らもどこに技術を応用していけばいいのかを考えているので、そういう提案とか嬉しいですね。普段ではありえない一種の混乱を楽しむようなコンテンツ。

堀江 そうですよね。これに限らずですが、社会の技術って、モノやサービスが売れていくことで少しずつ確定していくじゃないですか。だから、僕も「これが未来だ!」という新しい体験をどんどん普及させていきたいなと。それで、研究や開発する人たちが頑張れるような、いいスパイラルに持っていければいいですね。

藤井 そのあたりのことよろしくお願いします。サイクルを回さないと、その次にある技術もドライブされていかないですからね。

堀江 それじゃ、本日は長い時間ありがとうございました。コンテンツ展開やアダプタとかは、是非やらせていただきたいと思います。

藤井 ありがとうございました。楽しみにしています。

 

藤井直敬(Naotaka Fujii) Website
1965年広島県生まれ。東北大学医学部卒業。同大医学部眼科学教室にて初期研修後、同大大学院に入学、博士号取得。マサチューセッツ工科大学(MIT)、McGovern Instituteでの研究員を経て、2004年から現在まで理化学研究所脳科学総合研究センターに所属。適応知性研究チームリーダー。著書『つながる脳』(第63回毎日出版文化賞受賞)、『ソーシャルブレインズ入門』など。

 

Photograph/Edit=柚木大介  Transcription=logo-01 Text=伊藤龍介