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ホリエモンWITH 光で遺伝子をコントロールする東工大准教授、 増田真二が描く遺伝子と生命の未来とは?その4

堀江 研究費はどうなんですか?

増田 研究者が応募する研究費は2種類あって、旧文部省系の科学研究費と旧科学技術庁系のJST(科学技術振興機構)のどちらかに応募することが多いですね。

堀江 企業との共同研究とかは、あまりやらないんですか?

増田 最近は増えていると思いますけど、基礎研究だと企業もなかなかお金を出しづらいってのはあると思うんです。

堀江 でも、基礎研究にこそお金を出すべきですよね。

増田 ただ基礎研究も「それが今後どういう産業に結びつくのか?」って言われた時に、即答できるものはそんなに多くないんじゃないかなっていう気がします。それに、私がバクテリアが光に向かって動く仕組みを明らかにしたいから研究費を出してくださいってお願いしても、普通は「うん」とは言わないですよ。

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堀江 でも、それは遺伝子の発現の仕組みと組み合わせたところで、すごい価値が出るわけじゃないですか。

増田 そうなんですけど、その場合は研究の方向性が変わる可能性がありますよね。つまり、バクテリアが光に向かって動く仕組みを研究するのか、それともさっき言った花の色を変えるシステムを作ろうというプロジェクトをはじめるのか。

堀江 でも、花の色を変えられたらすごいと思いますよ。花のマーケットってすごいんですよ。本当に特定の波長の光とかで変えられたりしたら……。

増田 吸収する波長は決まっていて、それは青い光なんです。

堀江 バクテリアが持っていたのは、それなんですか?

増田 そうです。青い光を吸収する性質をもつ分子を、光を認識するタンパク質に結合させて利用するという感じですよ。

堀江 おもしろいですね。それ絶対、商品化できますよ。もし、自分たちで稼いだお金だったら、たとえば、こういう実験設備がほしいから買おうかって、そういうことがやりやすいと思うんですよね。研究者の楽園じゃないですけど、僕は、そういうのを作るお手伝いをしたいんですよ。そうすれば、いい未来が見えてくるんじゃないのかなって思ってるんです。こういうすばらしい研究をしている人は世界中にいっぱいいるんでしょうね。ところで、増田さんは、今おいくつなんですか?

増田 今、41歳です。堀江さんと同じ年ですよ。

堀江 そうなんですか? ずっと東工大ですか? 僕の友達も何人か東工大行ったんですよ。

増田 いや、違います。私は高専を出て、大学3年生に編入したんです。3年生から、電気通信大学に通いました。

堀江 電通大ですか。

増田 電気通信大学で、修士まで行ったんです。

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堀江 それでドクターで東工大に来られたんですか?

増田 いや、ドクターで都立大学、今の首都大学に行きました。ここへは、2回のポスドクの後、助手として来たんです。

堀江 他にポスドクでは、どこに行ったんですか?

増田 最初はアメリカのインディアナ大学ですね。

堀江 ポスドクって大変ですよね。

増田 大変だと思いますよ。

堀江 僕もポスドクは大変だろと思って、研究者の道をあきらめたんです。僕は別に文系に行きたかったわけではなくて、ただ東京大学に入りたいだけだったので、受験で一番楽なところを選んだんです。

増田 受験で一番楽なところ?

堀江 東京大学に入る最短ルートはなんだろうって。僕は、九州の久留米出身なんですけど、とにかく東京に行きたかったんです。それで、東京に行くために親から一番お金を出してもらいやすいのは、東大に行くことだなと。僕は社会が得意だったので、現役で東大に受かるには文系が楽だろうと思って、それで安易に入っちゃったんですよ。ただ、東工大の七類は受けようかなとは思っていたんです。

増田 入ってたら、だいぶ違う人生だったかもしれないですね。

堀江 そうですね。ただキャンパスが長津田って聞いた瞬間に、「長津田って田舎じゃん」とかって思って……。

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増田 そういう「長津田じゃん」っていう情報は、受験生に伝わっているものなんですか?

堀江 もちろん伝わってますよ。

増田 っていうのは、七類は最近人気がなくって……。

堀江 だから、それは長津田だからですよ。

増田 やっぱ、そうなんですか!?

堀江 そうですよ。大学生って、もちろん勉強のために入ってきているわけだけど、やっぱりキャンパスライフも楽しみたいんですよ。

増田 「そうだ」という派と「そうじゃない」という派と二つに分かれているもので……。それって、やっぱ大きな要素なんですね。

堀江 みんなきれいごと言うんですけど、やっぱり学生は半分ミーハーですからね。

増田 そうか、そうですよね(笑)。

堀江 そろそろ時間がきたみたいです。本日は、本当にありがとうございました。増田さんの研究、楽しみにしています。

増田 こちらこそ、ありがとうございました。がんばります。

 

増田真二(masuda shinji)
1972年神奈川県生まれ。2000年都立大学で博士号(理学)取得。日本学術振興会特別研究員PD、米インディアナ大学客員研究員、理化学研究所基礎科学特別研究員、東京工業大学生命理工学研究科助手を経て、現在東京工業大学バイオ研究基盤支援総合センター准教授。同大学生命理工学研究科/地球生命研究所准教授を兼担。

Photograph=柚木大介  Edit/Text=村上隆保 Transcription=logo-01