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「血流からリスクを読み取る」心臓血管外科医・板谷慶一が語る 「予測医療」の重要性 前編2/2

血流によって心臓の負荷を見る「予測医学」

板谷 僕は心臓血管病に対して、「どういう診断ができて、どういう治療が選べるか」という次のステージに行きたいと思っているんです。例えばクルマのエンジンには熱による損失とか、摩擦による損失とか、いろいろなパワーの損失がありますよね。エコカーはこの損失を減らしてパワートレイン(エンジンの動力をタイヤなどに伝えること)を増やすという設計思想を持っている。人間で言えばエンジンは心臓です。血管が狭かったり、弁からもれていたりすると、そこで血流が乱れてエネルギーが失われます。僕はその損失を減らして心臓のパワートレインを増やしたい。心臓のパワートレインとは血液が酸素を全身に届ける力です。僕は、パワートレインのことも考えて手術をするべきだと思っています。

堀江 はい。

板谷 今現在、心臓の機能に問題がなくても、病気が悪化すれば、心臓の負荷が増えていきます。心臓の負荷を見ていれば「まだ心臓はお元気のようですが、このままいくとまずいことになりそうです」ということが言える。取り返しがつかなくなる前のタイミングで手術をすることができる。

堀江 心臓外科手術ってきついですもんね。

板谷 きついです。

堀江 あれは、基本的には開胸手術なわけですもんね。

板谷 そうです。

堀江 肋骨も割るんですか?

板谷 胸骨ですね。

堀江 胸骨か……。

板谷 胸の骨を切って、人工心肺を取りつけます。

堀江 負担はでかいですよね。

板谷 でかいですね。同じ手術でも病状が進行していればしているほど、患者さんのリスクは上がっていきますし、手術を行なう側の難易度も高くなります。

堀江 うーん。

板谷 でも、それは追い込まれてから手術をするからそうなるんです。例えば、ある患者さんは冠動脈のプラークが1年間で3倍くらいに増えていて、別な場所にもプラークが増えていた。もし、半年後に一度検査をしていれば、冠動脈にステントを入れるなどの血管内治療ですんだ可能性もある。

堀江 ステントだったら、開胸手術をする必要はないですもんね。

 

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Photograph/Edit=柚木大介 Text=村上隆保