WITH

堀江貴文×村上世彰対談 vol.1

村上世彰 むらかみ・よしあき
1959年大阪府生まれ。1983年から通産省などにおいて16年強、国家公務員として務める。1999年から2006年までM&Aコンサルティングを核とする「村上ファンド」を運営。現在、シンガポール在住の投資家。今年の6月には『生涯投資家』(文藝春秋)を出版。

人間は機械よりも安い部品!?

村上世彰(以下、村上) AIのことでちょっと考えていて、「多動力」にも書いてあったけど、本のAIってどうなってるの?例えば堀江が話したことをデータベース化して本にしたり、売れた本、売れなかった本だったりを分析してAIがどんどん進化するという話だっけ?

堀江貴文(以下、堀江) いろんなAIがあると思うんですけど、本を作るAIということですか?

村上 そう。本を作ったり編集するAI。

堀江 村上さんの中でAIというのがよく分からない魔法の箱みたいになっているんで、技術的理解をいくつか進めないと。最近流行ってるAIって、いわゆるディープラーニング。日本語で言えば深層学習ですね。それがここ数年でものすごく進化したんです。何をやっているかというと、例えば翻訳とか「This is a pen」が「これはペンです」っていうふうに翻訳されるわけじゃないですか。

村上 うん。

堀江 これまでの翻訳は「これはペンです」というのを形態素解析して「This is a pen」に変換していて、そのルールセット作りは全て人間がやっていたわけです。形態素解析はこういうアルゴリズムでやりますって決めて。だからいつまでたっても機械翻訳というのは精度が上がらず、すごくレベルが低かった。でも今、GoogleなどのAI翻訳を入れるとかなり正確な英語が返ってくるわけです。それはなんでかっていうと、膨大な「This is a pen」の正解を覚えさせるんです。簡単なものから難しいものまで膨大な正解を読み込ませるんです。インプットに対しての正解のアウトプット。この組み合わせを沢山学習させるんですね。そこで人間のニューラルネットワークを模したコンピューターのアルゴリズムが試行錯誤して正確なアウトプットを出していくわけです。

村上 で、さっきの本の話で言うと、本ってそれはできにくいものなの? クリエイティビティが要るよね。

堀江 オリジナルのそういったクリエイティビティを作るのは得意分野ではないですよね。今のところは。

村上 本もちょっとずつ始まってるみたいね。

堀江 始まってるっていうか、得意分野があるんですよ。星新一のショートショートみたいなものだと、似たようなストーリーが多いから、そのデータを与えておけば、似たようなアウトプットはできますよね。

村上 なるほど。ちょっと時間がかかるということかな。だって、今回本書いてみて思ったけど、これをどうやって構成していくかって考えるのはすごく大変だから、それ一括でやってくれたほうが楽は楽だよね。

堀江 なそれは別にAIじゃなくてもいいんじゃないですか?みたいな感じですね。人間いるし。だから、結局、人間が安いか機械が安いかっていうだけの話ですよ。要は、本を作る作業というのはいろんなフローがあるわけですけど、このフローの中でいかに人間を使わなくするのかというよりは、コストダウンしていく、リードタイムを短くするということです。それは別に人がやろうがAIがやろうがどうでもよくて。どっちが安いか、どっちが早いかだけですよね。っていうふうな流れで言うと、例えばコンビニエンスストアとか、Amazonの倉庫とかは人間は機械よりも安い部品としてそこに居るんですよ。

次のページに続く