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ホリエモンWITH エンタテイメントとVRの融合を探求する。エンタテイメントシステム第一人者、神奈川工科大学准教授・白井暁彦 その2

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「僕らはいい時代に生まれた」、Unityが思い出させるホリエモンの少年時代

堀江 こういった「エンタテイメントシステム」が専門なんですか?

白井 エンタテイメントシステム。もしくはエンタテイメントVR。中規模・大規模な先端技術を使ったミュージアム向けなどのエンタテイメントシステムです。これを研究している研究室っていうのが世界探してもなかなかないので、専門と言っていいのかちょっと難しいところなんですが。

堀江 あ、そうなんですか。

白井 例えば落合(陽一)君とかやってる、いわゆるインタラクティブ系だと理工系、さらに「コンピューターグラフィックス」や「コンピューターサイエンス」、「ヒューマンインターフェイス」などがこの分野で、でも「エンタテイメントシステム」で博士(工学)をとったの、僕が初めてのようなので。そういう意味で「専門」と言っていいのかと。まだまだこれからの分野なんですよ。

堀江 18年前かな。僕、科学技術館の展示を手伝ったことがあって、展示を説明するプログラムとか作ってたんですよ。その仕事がきっかけで当時東大で今カルテックにいる下条さんとお会いしたんです。

白井 ほう、下条先生。ほうほうほうほう。

堀江 彼がやってたのもそれに近いようなことですよね。

白井 近いかもしれないですね。私はその頃、ちょうどプレステ2をはじめとするゲーム機のグラフィックスエンジンの仕事をしてました。今でいうとUnityみたいな感じで。

堀江 そう言えばUnityってめちゃくちゃ簡単ですよね。モーションキャプチャーとか例えば3Dで作った街とか、Unityなら普通にアップストアみたいなところから買えるじゃないですか。あれめちゃくちゃ手軽じゃないですか。

白井 そうですね。アセットストアで手に入るし、エフェクトだけとかインタラクションだけとかも買えますよね。

堀江 すごいっすよね。

白井 ゲームって複雑なことやいろんなことやらなきゃいけないんですけど、そこを「ツール」と言うプラットフォームの中で整理している。そこは誰もが認めるところだと思いますね。昔だったらプログラミングをゼロから覚えないといけないところを、一気にやりたい人がやりたいだけやれるっていう良さがありますね。

堀江 Unityはオープンアーキテクチャで、さらにほとんどプログラミング必要ないですからね。昔僕がマクロメディアディレクターとかで作ってたより感覚的ですし、あれよりも進化してる感じがする。

白井 そうですね。堀江さんはよく理解されてる。例えば、私たちが研究室で研究している部分で言うと、キネクトを使って人間の感情を認識する技術とか、多重化するためのリアルタイム映像生成する技術、GPU側での計算部分とか裏側の技術があります。その辺りを隠しながらも、ポータビリティがあったりプライシングできるような状態でマーケットに流せるっていうのは進化です。僕らがそのプレステ2で仕事してた時は「全体でいくらだ」って話しかできなくて、一部だけ渡すっていうのはできなかったんですよ。それは大変いい時代だと思います。

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堀江 すごいことになってますよね。

白井 さらにアイフォンとフェイスブック上で動くゲームがほとんど同じ感覚で動くのがすごいですね。

堀江 ああー。

白井 実際に開発しようと思ったら何十人も関わらないといけないようなエンジニアリング工数が大きなプロジェクトを、1人で面倒みれるレベルまで落ちてるのがすごいです。感動があります。

堀江 いつの間にかそういう風に進化してるところがすごいなと思ったんですよ。

白井 そうなんです。すごいスピードで普及しています。僕がUnityに出会ったのが2008年。その前にフランスで流行っていたVirtoolsなどもありましたが大学で教えるようになったのが2010年。でもその頃はまだUnityを知ってる人すら全然いなくて…。でも、もうこの1、2年の間で一気にスタンダードになっていますね。

堀江 そういうのがあるっていうのは僕も知ってはいたんですけどね。

白井 最新の多重化映像技術「Scritter」もUnity用のアドオンで作ってます。「Scritter」を使うと、通常ゲームの「1P」「2P」は別の画面で分割しているところ、「同じディスプレイで多重化して見れる」ようになる。まだ公開していませんが、将来的にはアセットストアでダウンロードしてすぐに作れるようにしてあるんです。

堀江 映像の多重化にもUnity使ってるんですね。すごい。

白井 誰もがインタラクティブなコンテンツを作れるプラットフォームですからね。しかし、大学の教育からするとこれはかなり恐怖がありまして。高校生が「ゲームクリエイターなりたいんだ」って夢見て大学に入った人が卒業するまでの間にこれが起きちゃってるんですよ。だから「プログラミング勉強しないとゲーム作れる人にならないよね」みたいなことを言っていた先生たちや、もしくはそうだろうと思って勉強してた人たちが大学を出る頃には、そういう夢は自分のパソコンで実現してしまう……という。そういうスピード感そのものについていくことが大事になっています。

堀江 知ってるのと知らないのでは…。

白井 雲泥の差ですね。言ってしまえば「気の利いた中学生・高校生」でも無料でダウンロードして自分で作れるんですよ。それが僕らの時代でいうとマイコン標準搭載のBASIC言語とかでやってたのと同じような感覚でやれてしまうんですね。

堀江 ちょうどさっき青空文庫の創設者の冨田道夫さんの「パソコン創世記」の本を読んでたんですけど、このPCが発展していた時代に僕らも夢中になってベーマガに投稿したり、プログラミングしてたわけじゃないですか。今それと同じ感じでUnityやってる子供たちが育ってるのかな、なんて。

白井 僕らが少年だった時代ってNEC、富士通それから日立、そういったメーカーが一時代築いていて。そのユーザーの人生そのものを変えてしまうようなマイコン、パソコンの製品を作ってた。まさに少年たちが「こんなものと出会ったら人生変わっちゃうよな!」って、そういうクリエイティビティとか、もしくは寝食を忘れてやってしまうような魅力がありましたよね。

堀江 あの頃を知ってるからなあ…。

白井 僕も堀江さんとほぼ同じ世代ですから、その感覚すごく分かりますね。

堀江 僕らはいい時代に生まれたと思いますよ。ちょうどパソコン通信の勃興期にもあってるし、インターネットの始まりの時代にも出会えてたし。そして、VRとかの世界とかこれから来るのにも関われますからね。