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JAXAはやぶさ2プロジェクトマネージャー津田雄一が語る『はやぶさ2の挑戦』後編1/2

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アメリカの約3分の1の予算で挑む、日本の小惑星探査

堀江 「はやぶさ2」の予算って、打ち上げ費用まで含めるとどれくらいなんですか?

津田 約300億円ですね。

堀江 300億円だと、厳しいですよねえ。

津田 いろいろな事情で決まっているので仕方がないんですけど、「はやぶさ2」と同時期に打ち上げられたアメリカの「オサイリス・レックス」という探査機の予算は約800億円でした。ですから、現場としてはもっと予算があれば「やれることはたくさんあるのに」とは思います。

堀江 「オサイリス・レックス」はどこに行くんでしたっけ?

津田 「ベンヌ」というリュウグウと似たようなタイプの小惑星ですね。

堀江 C型小惑星ですか?

津田 C型の親戚のB型です。

堀江 B型って、どんなやつですか?

津田 どちらも同じように炭素が含まれているんですけど、ちょっと色合いが違うんです。

堀江 色合い?

津田 C型かB型かは、地上から望遠鏡で見たときのスペクトル(分光器を通したときにわかる色の帯。波長の順に並ぶ)などの色合いだけで決めてるんです。

堀江 元素としては、炭素の次に何が多いかとかはわかるんですか?

津田  炭素の次というと微量な比較で難しいのですが,基本的には石ころのようなもので、炭素も、実は一番多い元素ではないんですよ。

堀江 ああ、そっか。炭素がリッチなだけだ。

津田 含有率が高いんですね。まあ、C型もB型も、初めて探査してるので詳しくはわかっていないんですが、地上に降りてくる隕石でみると炭素量は3%くらいじゃないかと言われています。

堀江 「ベンヌ」も地球近傍小惑星なんですか?

津田 はい。同じようなタイプの小惑星に探索に行って、ライバルでありながらコラボレートしてやっているんですけど、やっぱりアメリカは規模が違うので……。

堀江 ははははは。リュウグウも地球近傍小惑星で、火星に近いところから地球に近いところをグルグル回っているんですよね。

津田 そうですね。火星と地球の間の楕円軌道を回っています。

堀江 なんでそんな軌道になるんですかね。

津田 もともと小惑星が多いメインベルト(小惑星帯)で衝突して弾き飛ばされたり、木星のような大きな天体との重力の関係で、軌道が曲がって地球の近くにやっ
てくる小惑星があるんです。なので、リュウグウもそういう理由かなと。

堀江 でも、軌道が安定してますよね。

津田 はい。少なくとも現在の軌道で何十億年とかは経っていると思います。

堀江 やっぱり、リュウグウのような変わった軌道のほうが探査しやすいんですか?

津田 そうですね。C型小惑星のサンプルを持ち帰ろうとすると、火星より遠くにあるメインベルトまで行って帰ってこなければなりません。現在、メインベルトまで行って帰ってくる技術はあるんですが、それには莫大な燃料が必要になるんです。でも、リュウグウは地球の近くにやってくるので、「はやぶさ1」の改良型でたどり着ける。それで、リュウグウでサンプルリターンしようと思ったんです。

堀江 価値的には、メインベルトのC型小惑星と同じなんですか?

津田 科学的な価値としては同じだと思います。ただ、メインベルトにはほかにもいろいろな小惑星があるので、自由に行き来できるようになると、もっと飛躍的に成果が出ると思います。

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