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餅つきをしていて技術継承の難しさ、大事さを感じた話

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頭の体操

餅つき

大晦日近くになると毎年祖父宅で餅つきをしていた。
餅はついた後の餅よりも、蒸し器で蒸した直後のおこわ状態のほうが私は好きだ。これに醤油を少し垂らして食べると最高荷美味い。子供の頃の私は蒸し器のかまどの火の世話をするのが好きだった。小学生くらいになると餅つきをさせてもらうようになるのだが、餅つきというのは意外にちゃんと出来る人って少ないってのが大人になってわかった。

数年前シンガポールで年越しをした時のこと。駐在員の友人たちが集まって少しでも日本っぽい事をする忘年会に混ぜてもらった。紅白歌合戦をみて日本酒を飲み、餅つきをして百人一首をするというなかなか日本では経験できないイベントであった。でも餅つきをするときに最初にやることをやっていないので餅にならないのだ!

それは臼に蒸したもち米を入れて杵でグリグリやって捏ねる動作が必要不可欠なことをしらないからだ。というかほとんどこの動作で餅は出来てて、最後の餅つきはむしろ仕上げの動作に近い。私は祖父たちが毎年やっているのを見ていたので当然のようにそれをやったら、餅つき博士に祭り上げられてしまった(笑)。

実は今日も知人宅で餅つきをしてきた。今日の餅つきまでは皆完璧だった。しかし、そこからがまた問題だ。餅を丸めるのだけど、みんな不格好にしか丸められないのである。。。これもまた私は祖母たちが丸めるのを手伝っていたので綺麗に丸めることが出来た。みんなびっくりである。「すげー、売ってる餅みたい」って(笑)。これは顔のシワを伸ばすのと同じでまずついたもちを大きな塊にして餅全体を伸ばして反対側に絞っていくだけである。これを伸ばした所から手で丸を作って小分けにしていく。それを大きな塊を作ったのと同じ感じで丸めていくだけである。

餅なんて誰でもつけるでしょ、丸められるでしょ、って皆思っているから意外と出来ない。当たり前っぽく見えるノウハウというのはちゃんと教えないと皆覚えていかないようだ。私がやっている動作をみて「あー、おばあちゃんが確かにそうしてた」って言われる。技術継承というのはこういう難しさがあるのである。

私がやっているロケット事業も同じだ。
例えば宇宙では酸素がないのでエンジンで燃焼させるための酸素が必要となってくる。コンパクトにタンクに詰めたいので液体酸素を使う。液体酸素は超低温なのでデュワーという魔法瓶に入れられているのだが、それをロケット用の圧力タンクに詰めなければいけない。しかし、ジョウロで直接いれようとしても全然入らないのである。。。試行錯誤の末、タンクに断熱材を巻いて、最初はタンクを冷やすために圧力を掛けて入れて十分に冷ましてからやっと入るようになった。そんな当たり前のようなノウハウはどこにも書いてない。

ロケットの教科書があったとしてもおそらく書かれないのではないか。現場では当たり前にやっていることだからだ。
餅つきはまだまだ多くの家庭で毎年行われている事だから、技術継承されなくなることはないだろうが、ロケットエンジンの開発となるとそうはいかない。そうそう新規開発をするようなものでもないからだ。継続的に事業をやって改良を積み重ね市場を作っていかないと技術は継承されない。大事な技術は途絶えてしまう事になる。

実は世の中の多くの技術がそうやって打ち捨てられている。私達は車輪の再発明のような事を意外に多くやっているのである。そんな所に問題意識を持った餅つき体験であった。。。。