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オバマ新政権の宇宙政策、安全保障との関連から。

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オバマ政権移行チーム、「アレスI」ロケットの開発中止を検討
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なんか、前の会社時代は結構いい加減な株式関連記事ばっかりだったようなテクノバーンですが、サイエンス系記事は結構まともなのね。見直したよ。

で、問題のコンステレーション計画の規模縮小ですが、まあ有人専用のアレスIの筋の悪さに関しては、やめるという選択肢はかなり正しいような気もしますね。スペースシャトルの4セグメント固体ブースターに1セグメント追加して一段目、二段目はアポロ計画(!)のサターンVの二段目エンジンですからね。しかも固体ロケットは振動が激しいため、ショックアブソーバーを間に入れるという・・・。

で、貨物用ロケットに有人用もということですが、アレスVに予定されている一段目は、デルタIVと同じものですし、実際のところ信頼性はまだよくわからんといったところでしょう。そもそもデルタIVの一段目の液体水素燃料を一段目に使うのは、あまり効率が良くない。一段目は燃料を含めて重いものを打ち上げるので、ケロシン(灯油)とかヒドラジンを使ったほうがいいみたいです(ヒドラジンは有毒でやばいんですが、中国の現行モデルの長征の一段目はヒドラジンです)。

で、それが無理ならオライオン宇宙船をスケールダウンして、アリアンVやらH-IIやらで打ち上げるとか言っておりますが、現行モデルのH-IIでは有人打ち上げは難しいようです。なんでも、二段目のLE-5エンジンの推力不足で速度を上げる高度が高すぎ、エンジンに不具合が生じた場合脱出用ロケットで乗組員を安全に地上に戻すことが出来ない(高度が高すぎて帰還途中に潰れてしまう)らしいです。

どうなってしまうんでしょうかね?以外と、スペースXのファルコン9ヘビーとかがいいのかもしれませんね。最近エンジンテストうまくいったみたいだし。まあ、でも信頼性確保するには時間がかかりますね。オライオンの脱出ロケットシステムなんかもテスト中だし。結局ソユーズに依存というのが現実的な解かもしれませんが、それにはロシアとアメリカが仲良くしないと。さらに、長期契約を結んで、ソユーズ宇宙船とソユーズローンチビークルの製造ラインを増強してもらわないとねぇ。

まあ、でもともかく、アメリカだろうが、結局巨大なスペースシャトルという公共事業をいきなりゼロにすると、多くの人が失業してしまい産業も大打撃を受ける。それを回避するために、せっかくスペースシャトルの失敗を教訓にカプセル型宇宙船を新たに作るチャンスなのに、結局国の事業であるために、古い技術を延命させなければいけないところが、イマイチなところである。やっぱり民間が開発しないと、いいものはできないと思うんだよね。

と、日本も似たような事例出てきてるけど、

GXロケット開発継続の是非、複雑な政治的・世界的事情により結論は先送り
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日本は、例によって決断できず。ここがオバマとの差。どうせだらだら続けて成果なしだろう。せめて小型の炭化水素系エンジンあたりに資源を集中させて開発すればいいのにね。まあ、どうにもならんだろうけど。

ロケットが面倒なことになるのは、軍事がらみの話がでてくるからなんだよね。有人カプセルに核弾頭のっけたら、そのままICBMだからね。だけど、その核ミサイルが張子の虎であることはあまり知られていない。

だってどれだけ、打ち上げ失敗してるの?よくロケットの打ち上げ失敗の話を聞くはず。人工衛星だからまだいいけど、もし核弾頭が載っていたら?また、つい先日有人のソユーズが再突入時にトラブルで400kmもはなれたところに着陸した。もしこれが核弾頭だったら?

そもそも、宇宙船はどこに着陸するか分からないことを前提にして宇宙飛行士は極寒の氷上やらでサバイバル訓練を義務付けられている。つまり、ピンポイントで着陸できるかどうかなんて分からないのだ。核弾頭をピンポイントで着弾できないことと、それは同義である。そんないい加減なもの、本当に発射できるのか?

実際に、弾頭をつけた核ミサイルがどこかに打ち込まれるということはないわけだ。お互い核ミサイルを突きつけて「うつぞ、撃つぞ」って言っていて、結局撃たないわけだ。それを逆手にとったのが北朝鮮なのである。

ロケット先進国のロシアやアメリカが正確に打ち込めない核ミサイルを北朝鮮が正確に撃てるはずがない。だから、北朝鮮も張子の虎なので、テポドンなど恐れるに足りず。むしろ工作船で核物質を秘密裏に持ち込まれ、人口密度の高い場所にばら撒かれるほうがむしろ恐ろしい。ダーティボムというやつだ。

なのだが、ロシアもアメリカも核兵器が軍事力の大きな要となっているため、北朝鮮のミサイルの脅威を否定することができない。つまり自分のところの核も張子の虎であることを認めてしまうことになってしまうからだ。

核ミサイルよりむしろ小規模な集団によるテロやゲリラ活動に対策をするのが現代の安全保障政策である。軍事衛星だって、学生が作るマイクロサットレベルで一昔前の偵察衛星レベルのものが作れてしまう時代なのである。宇宙開発を安全保障問題から早く切り離して欲しいよ(日本は今更ながら宇宙基本法に安全保障とか謳ってるけど、時代遅れ)。

なぜ、スペースシャトルは終わってしまうのか、その問題について詳しい本。国主導の宇宙計画が持つ根本的な問題に鋭く切り込んだ一冊。