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トヨタと自動車産業、そして派遣切り

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アメブロアーカイブ, 漫画・書評

池田信夫氏のblogに、2つ興味深い記事が載っていたので、紹介しつつ。

所有という幻想

「すり合わせ」の神話
※リンク切れ

大政奉還は古臭いシステムで、まあどうでもいいが、それで社員がまとまるという幻想があるのだろうか?日本の天皇制みたいなものか?と、その辺はどうでも良くて、トヨタバブルがアメリカの過剰消費に支えられていたというのは、そのとおりである。しかも割賦販売という金融システムにも支えられていたし、住宅バブルで金借りて住宅買ったのに、担保価値が上がって、さらに金を借りて自動車を買っていたわけで、それによって、トヨタの空前の好業績は支えられていたわけだ。

「モノづくり」が尊くて「金融」は虚業だ、とかいうレベルの低い議論は置いておくとしても、そういう批判をしていた人たちは、その尊い「モノづくり」企業が実は、あまり必要のないかもしれないものを作っていて、さらにそのコストを浮かすために派遣労働者を大量雇用して、いま大量解雇しようとしている事実をどう説明するのだろうか?

ベーシックインカムの話でもちょっと触れたが、アメリカの住宅バブルによって本来自動車を手に入れられなかった層に自動車を売るために派遣労働者は雇われていたわけだ。そして必要なくなったから解雇されている。バブルが存在しないと彼らは職にあぶれてしまう構造なわけだ。つまり必要ない橋や道路を作るために公共事業をやるのと、そんなに変わらない。だったら、そんなのやめて最適化し、所得最低補償を実施し、一部の人間を馬車馬のように働かせて、その他大勢を養う構造にしようというのが、私の意見だ。

自動車産業の話だが、いうまでもなく自動車のキーデバイスは内燃機関エンジンだ。高圧高熱下の流体を扱う内燃機関はコンピュータシミュレーションの難しい、どちらかというと職人や技術者の経験と勘の世界で作られる。だから、大規模な設備投資が必要という以上に、内燃機関エンジンの開発にコストだけでなく、稀有な人材が必要な事が、参入障壁にもなっているし、モジュール化や水平分業化を阻んでいる。

これが電気自動車モーター式になると、大きく変わるだろう。コンピュータの世界で巨人IBMがマイクロソフトと、インテルに敗れたように。

モーターは電磁力学の世界だ。基本的にはほぼコンピュータシミュレーション通りに動く。それがホイールに内臓され、いわゆるインホイールモーターになる。もう一つは、大型のリチウムイオン電池だ。大量生産できればコストは劇的に下がる。さらに、夜間使わないうちに夜間電力で充電が可能だ。夜間電力は主に原子力が使われており、通常は余剰電力が発生しているため、電力料金も安いし、なにより一部はロスしているものを利用できる価値は大きい(ロスを減らすために、水力発電所では水をくみ上げるのに使っている=揚力発電)。原油由来の燃料を全く使わない(電力の元も含め)自動車が実現するわけだ。

それだけではない。昼間自動車を使わないうちは、それ自体がバッテリーとなるので、夜間電力で昼間の家庭の電力需要がまかなえる。もしかしたら、ビルの駐車場で電力を売電する自動車なんてのもありかもしれない。これは大きな意味を持つ。放射能漏れの危険はあるものの、それを除けばクリーンな、しかも資源埋蔵量が十分確保されている原子力をもっと活用することが可能なのだ。原子力発電は出力コントロールが難しいので、昼間のピーク時にはコントロールしやすい、重油をつかった火力発電が多用されるのだ。だが、消費者側が自前のバッテリーに夜間電力を貯められれば、ピーク時のボラタリティが小さく抑えられるのだ。つまり原油由来の燃料をつかった発電そのものが減らせるのである。

話がそれたが、これがモジュール化される。コンピュータでいえば、CPUやメモリにあたる部品だ。それにソフトウェアが加わる。コストは大きく削減され、多くのローコスト組み立てメーカーが生まれるだろう。その中でデルのような巨大メーカーが生まれてくるはずだ。

この不況はそのような構造改革を推進する好期となろう。

しかし、松本零士氏の裁判はひどかった。負けて当然の結果だろう。

話とは全く関係ないが、一応自動車関連で漫画紹介。やっと38巻発売だよ・・・・。