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現在衆議院法務委員会にて審議中の司法制度改革案についての意見。

カテゴリー:
政治・経済

先日衆議院法務委員会に参考人として出席してきた。それは安保関連法案に世論が引きずられている状況でほぼ全く報道されていない、問題の司法制度改革案にたいして疑義を呈するためである。本来郵便不正事件で現厚生労働事務次官である村木厚子さんを冤罪で長期勾留してしまったことへの反省であるはずが、むしろ有識者の審議会にて検察権力の焼け太りとも言える状況に陥ってしまっているというこれまで検察が繰り返してきた権力への飽くなき執着の歴史をなぞっている状況が非常に問題だと言えるからである。ここで与党に対して民主党・維新の党が修正を要望している内容を検証しながら、問題点を明らかにしていこうと思う。適宜修正案骨子に意見を書いているのでぜひ見て欲しい。

刑事訴訟法等の一部を改正する法律案に対する修正案骨子

第一 題名について
改正法の題名を「刑事訴訟法及び犯罪捜査のための通信傍受に関する法律の一部を改正する法律」に改めるものとすること。

第二 取調べの録音・録画制度について

一 取調べ等の録音・録画の努力義務

検察官及び検察事務官並びに司法警察職員は、取調べ等の録音・録画(被疑者又は被疑者以外の者の取調べ又は弁解の機会における供述及びその状況を録音及び録画を同時に行う方法により記録媒体に記録することをいう。以下同じ。)に係る記録媒体が当該供述が任意にされたものかどうかを判断するための最も重要な証拠となり得ること及び取調べ等の録音・録画が取調べ等の適正な実施に資することに鑑み、第301条の2第4項の規定により被疑者の供述及びその状況を記録しておかなければならない場合以外の場合(同項各号に掲げる場合を除く。)であっても、取調べ等の録音・録画を行うよう努めなければならないものとすること。

->すべての事件を録音録画すべきだし、被疑者被告人以外にも参考人などの任意取り調べの段階も録画録音すべきであろう。機器を揃える費用はそんなにかからないはずだ。それこそスマートフォンでも出来るレベルである。

二 例外事由の限定
取調べの録音・録画義務の例外事由については、次の2つに限定するものとすること。
(1) 災害によりやむを得ないとき。

(2) 被疑者が弁護人の同意を得て拒否したとき。

第三 合意制度に関する規定の削除

合意制度に関する規定は、削除するものとすること。

第四 刑事免責制度に関する規定の削除

刑事免責制度に関する規定は、削除するものとすること。

->司法取引に関しては一方通行の取引しか認められない(主犯格とされる人物の積極的な捜査協力による減刑などが盛り込まれていない)ことが問題なので、そこを担保すれば認めてもいいと私は思う。

第五 保釈について

政府案の裁量保釈の判断に当たっての考慮事情の明確化に加えて、権利保釈について、次の改正を行うものとすること。

権利保釈が認められない場合のうち、「被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき」を「被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる十分な理由があるとき」に改める。

->私としてはこれが人質司法の大きな原因の一つであるため、権利保釈については罪証隠滅の疑いの項目すら削除すべきと思う(既に当局は大半の客観証拠を把握しているはず)が、最大限譲歩してもこの程度だろう。

第六 証拠開示制度の拡充について

一 証拠の一覧表を交付すべき時期について

「検察官請求証拠の開示をした後、被告人又は弁護人から請求があったときは、速やかに」を「検察官請求証拠の開示をする際」に改めるものとすること。

->自主的に検察官から開示すべきだろう。

二 証拠の一覧表の記載事項について

検察官、検察事務官又は司法警察職員が作成した書面であって、作成者以外の者の供述を内容とするもの(供述を録取した書面で供述者の署名又は押印のあるものを除く。)については、当該書面の標目、作成の年月日及び作成者の氏名に加えて、供述者の氏名を記載しなければならないものとすること。

->これも当然だろう。

三 証拠の一覧表の例外事由について

1 「人の生命・財産に害を加え又は人を畏怖・困惑させる行為がなされるおそれ」を「一覧表に記載された者若しくはその者の親族の生命・財産に害を加え又はその者若しくはその者の親族を畏怖・困惑させる行為がなされるおそれ」に、「人の名誉又は社会生活の平穏が著しく害されるおそれ」を「一覧表に記載された者又はその者の親族の名誉又は社会生活の平穏が著しく害されるおそれ」に改めるものとすること。

2 「犯罪の証明又は犯罪の捜査に支障を生ずるおそれ」を削除するものとすること。

四 証拠の一覧表の例外事由に該当する場合の取扱いについて

例外事由に該当する場合、一覧表に記載しないことができるとする政府案の規定を改め、一覧表に記載した上で、弁護人に対し、一覧表に記載された者の氏名が、被告人の防御に関し必要がある場合を除き、被告人その他の者に知られないようにすることを求めることができるものとすること。

これに伴い、適正管理及び目的外使用の禁止に関する規定を設けるものとすること。

五 公判前整理手続及び期日間整理手続の請求権について

請求を却下する決定に対しては、即時抗告をすることができるものとすること。

六 再審の請求の手続における証拠の提示等に関する規定の追加

1 再審の請求を受けた裁判所は、検察官等が保管する証拠については、当該証拠又はその一覧表の提示を求めることにより、刑事訴訟法第445条の事実の取調べを行うよう努めなければならないものとすること。

2 検察官及び司法警察職員は、刑事訴訟法第445条の事実の取調べに関し、裁判所に進んで協力しなければならないものとすること。

第七 証人不出頭の罪等の法定刑の引上げ等に係る改正規定の削除

1 証人不出頭及び宣誓拒絶等の罪の法定刑の引上げに係る改正規定は、削除するものとすること。

2 裁判所による証人の勾引の要件の緩和に係る改正規定は、削除するものとすること。

第八 自白事件の簡易迅速な処理のための措置に関する規定の削除

自白事件の簡易迅速な処理のための措置に関する規定は、削除するものとすること。

->虚偽自白もありえますからね。

第九 刑法の一部改正に係る規定の削除

犯人蔵匿等、証拠隠滅等及び証人等威迫の罪の法定刑の引上げを内容とする刑法の一部改正に係る規定を削除するものとすること。

第十 組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律の一部改正に係る規定の削除

組織的な犯罪に係る犯人蔵匿等、証拠隠滅等及び証人等威迫の罪の法定刑の引上げを内容とする組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律の一部改正に係る規定を削除するものとすること。

第十一 犯罪捜査のための通信傍受に関する法律の一部改正について

一 通信傍受の対象事件の範囲の拡大について

通信傍受の対象事件の範囲は、次の3つの罪に限って拡大するものとすること。

(1) 詐欺罪(未遂罪を含む。)

(2) 電子計算機使用詐欺罪(未遂罪を含む。)

(3) 恐喝罪(未遂罪を含む。)

二 新たな傍受の実施方法について

暗号技術を活用する新たな傍受の実施方法に関する規定は、削除するものとすること。

->通信傍受の範囲を拡大することは権力の濫用につながる可能性が非常に高いため、このような限定は必要だろう。

第十二 国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律の一部改正に係る規定の削除

証拠隠滅等の罪等の法定刑の引上げを内容とする国際刑事裁判所に対する協力等に関する法律の一部改正に係る規定を削除するものとすること。

第十三 施行期日

公布後3年以内の政令で定める日とされている取調べの録音・録画制度の施行期日を、公布後1年以内の政令で定める日とすること。

->たしかに時間をかけすぎである。1年以内が望ましい。

第十四 検討

政府は、この法律の施行後3年を経過した場合において、第二の一の趣旨及び改正後の刑事訴訟法の施行の状況を踏まえ、取調べ又は弁解の機会における供述及びその状況を録音及び録画の方法により記録しなければならないこととする事件の範囲を拡大することその他改正後の刑事訴訟法の規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすること。

第十五 その他

その他所要の規定の整理を行うものとすること。