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マンガHONZ:グラウンドには銭(ゼニ)が埋まっているの略で『グラゼニ』生々しい野球のカネの話なのに微笑ましいマンガ

カテゴリー:
漫画・書評

マンガHONZより転載

グラゼニ(14) (モーニングKC)
アダチ ケイジ
講談社 (2014-04-23)

 ものすごく異色な野球漫画だ。過去には数え切れないくらいの野球漫画が存在しているはずだ。もちろん現在進行形で連載されているものもある。しかし、基本はスポーツの醍醐味とプラス恋愛模様みたいなお話になるのが普通だろう。だが、この漫画は明らかに違う。

「グラウンドにはゼニが埋まっている」の略で「グラゼニ」というタイトルなのだが、それに象徴されるように、これは野球漫画というよりは野球選手の人生をお金という側面から現実味あふれる描き方で鋭くえぐっている漫画なのである。戦力外通告を受けて職を失ってしまう選手が多数いる反面、数億円を超える年俸に加えてTVCFなどの副収入を得られるスター選手がいる世界。そんな世界を年俸2,3千万円の中堅の中継ぎ投手を主人公の視点から描いていっている。
年俸2,3千万といえば普通のサラリーマンからすれば高給取りなんだろうけど、いつ怪我して調子が悪くなるかわからず、ダメになったらすぐに肩叩きをされるシビアな職種である以上、あまり贅沢で派手な暮らしもできていない。いきつけの居酒屋で働く美人の一般女性に仄かな恋心を抱いていたりする所がなんだかコミカルというか可愛げすらある。彼自身は他の選手の年俸のことが物凄く気になっている、まあいわばカネの亡者的側面もあるのだけど、そのコミカルさで驚くほどドロドロとした感じがないのである。

まあ正直プロ野球選手という憧れの仕事の裏側のしょーもない所を見せつけられるのでプロ野球選手を夢見て頑張っている青少年にとっては夢が敗れてしまう現実を見せられてしまうかもしれないけど、まあ悪いけど生生しくて結構おもしろいんだよね。