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「ビッグデータを活用すれば、 すぐに売上げや生産性が向上する」 日立製作所中央研究所・主管研究長 矢野和男が考える“データビジネス”の未来とは?1/2前編

堀江貴文 矢野和男 ホリエモンWITH

矢野和男(Kazuo Yano)
株式会社日立製作所中央研究所・主管研究長
1984年、早稲田大学物理修士。日立製作所に入社。93年、工学博士。入社以来、半導体新デバイス・回路を研究。2004年からウエアラブル技術とビッグデータ収集・活用で世界を牽引。 現在は、100万日を超えるヒューマンデータを使った企業業績向上などを研究。東京工業大学大学院連携教授。文科省情報科学技術委員。2007年に「Erice Prize」、2012年に「Social Informatics国際学会最優秀論文」など国際的な賞を多数受賞。

ビッグデータを活用したら店の売上げが15%アップした

堀江貴文(以下、堀江) 僕、初めて買ってもらったパソコンが日立でしたよ。日立製のMSXパソコン「H2」ってやつでした。

矢野和男(以下、矢野) その時は、おいくつぐらいだったんですか?

堀江 12歳くらいです。父が日産グループに務めていたんですよ。だから、日産グループの社販で買えたので、家の家電は全部、日立製でした(笑)。日産と日立は、昔、同じコンツェルンですよね。

矢野 はい。日産コンツェルンです。

堀江 あとは、通っていた塾のパソコンも日立製で「ベーシックマスターレベル3マークファイブ」っていう、なかなかマニアックなマシンでしたね(笑)。

矢野 そうなんですか(笑)。

堀江 ここ(日立製作所・中央研究所)は、いろいろな研究をされていますよね。

矢野 そうですね。コンピュータはもちろん、半導体や電子顕微鏡などもやってきました。今は日立グループ全体の方針として、社会イノベーション事業を展開していこうとしています。

堀江 うまいこと、そっちのほうにシフトしましたよね。

矢野 私は1984年に入社して、20年くらいずっと半導体の研究をしていたんですよ。でも、10年ほど前に研究所が半導体の研究をやめることになって、一時、社内失業のような状態になったんです(笑)。

堀江 たしか、半導体事業は3社くらいがまとまったんですよね。

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矢野 そうです。まず、2003年に『三菱電機』さんと一緒になって、『ルネサステクノロジ』に。その後に『NEC(日本電気)』さんと合併して『ルネサスエレクトロニクス』という会社になりました。

堀江 そっちには移籍されなかったんですか?

矢野 ええ。我々の仲間は移籍しましたけど……。

堀江 じゃあ、今は半導体はまったくやっていないんですか?

矢野 いや、パワー半導体などのパワーエレクトロニクス分野は続けています。あとは、MEMS(微小電気機械システム)のセンサーとか……。

堀江 MEMSセンサーですか。

矢野 はい。それで、私は「今後はパソコンや携帯がもっと小さくなって、その役割はセンシングになるのではないか。だから、センサー自体を研究するよりも、センサーから出てきたデータをどう利用するかが重要になるんじゃないか」と考えて、“データビジネス”の研究を2004年から始めたんです。……と、まあカッコいいことを言っていますが、これは苦肉の策でして、すでに主要な分野の研究はしっかりとチームができていたので、「もう、他に誰もやってないことをやるしかない」と思ったのが真相です(笑)。

堀江 でも、もう10年もやっているんですか。

矢野 そうですね。10年以上続けて、いろいろな失敗はあったんですけれど、最近やっとビッグデータを活用して、「どうすれば儲かるか」ということを教えてくれる人工知能を開発しました。

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堀江 それは、たとえばどういう感じなんですか?

矢野 たとえば、あるお店で、POS(販売データ)と商品の場所などの配置データ、それから従業員のシフトなどの業務データ、お客様の買い物時の動線などの情報を大量に集めて分析すると、ある場所が高感度スポットになっていることがわかるんです。

堀江 高感度スポット?

矢野 ええ。その場所に従業員が立っている時と立っていない時では、売上げが全然違うんです。それで、実際にその高感度スポットに従業員を立たせてみたら、全体の売上げが15%ほど上がりました。

堀江 それ、すごいですね。お客さんのデータを集めるセンサーは、カートか何かにつけたんですか?

矢野 いや、センサーを入り口で配りました。「今、サービス改善の調査をしておりまして、ご協力いただけるお客様はお願いいたします」と。それで、帰りに粗品をお渡ししました。

堀江 ビッグデータを使ってこういう分析ができるなら、それをビジネスにすれば、めちゃくちゃ儲かるじゃないですか。

矢野 ええ。実は、それを期待してるんですよ(笑)。

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