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「深海生物のメカニズムでイノベーションを起こす」 海洋研究開発機構・出口茂が考える 極限環境を使った最新技術とは?前編2/2

ホリエモンWITH 堀江貴文 出口茂

厳しい環境の海底だからこそ、進んだ技術を持っている生物がいる

堀江 でも、超音波のセンシングって、人間はできないですけど地上ではコウモリとかできますよね。自動車の衝突防止とかにも使われてますし。

出口 そうですね。イルカとかもそうですけど、海の中は電波がほとんど届かないので、通信も音を使うしかないんです。ですから、センシングは地上よりも、たぶん海の中のほうが困難だと思います。ですので、同じセンシング技術でも、コウモリよりイルカや海洋生物が使っている技術のほうが、一歩進んでいるんじゃないかと思われるんですよ。

堀江 へー。進化って面白いですね。

出口 そうですね。センシングひとつとっても生物の進化の過程でいろいろな方法が発達したと思うんですけど、効率の悪いものは淘汰されている。ですから、今、生き残っているセンシングのメカニズムは効率が良く、技術的にすごく高いはずなんです。

堀江 クジラって肺呼吸ですよね。

出口 そうです。哺乳類ですから。

堀江 3000メートルまで潜るっていうことは、結構、息を我慢できるんでしょうね。

出口 1時間以上も続くみたいですよ。

堀江 そんなに……。

出口 そういえばシャチはクジラを食べるんですが、シャチはどうやってクジラを襲うかというと、子どものクジラの上に次々に乗っかって、子クジラを海中に沈めて窒息死させるんです。そして、窒息死させたものを食べるんです。

堀江 へー。

出口 それもアゴの一部分を少しだけ食べて終わり。

ホリエモンWITH 堀江貴文 出口茂

堀江 贅沢ですねえ。でも、海の中でそうやって死んでいると、いろんな魚が集まってきて、みんなすごい勢いで食べるわけですよね。

出口 ええ。実はそれがすごく重要なんです。海底は光が届かないので光合成ができないため、生物生産性が低くてすごくひもじい世界なんですが、たまにそうやって死んだクジラや魚などが落ちてくる。それが海底の生物にとってすごく重要な餌になっているんです。

堀江 なるほど。

出口 そして、海底にいる生き物が肉を食べると、最後に骨が残るじゃないですか。すると、今度はホネクイハナムシという生物が出てきて、骨を食べる。骨を溶かして骨の中にある有機物をむき出しにして、それを消化していくんです。

堀江 へー。

出口 あと、海底は生物の密度が少ないのでオスとメスが出会うチャンスがほとんどないんですよ。例えば、チョウチンアンコウっていますよね。頭のところにチョロチョロっとしたもの(誘引突起)がついているやつ。あれは、まずメスなんです。チョウチンアンコウのオスって、メスよりもかなり小さくて数センチくらいしかない(メスは40センチ程度)。そして、メスに出会うとメスの身体に噛みついて、だんだんメスと一体化していって、最後には精巣しか残らないんですよ。

堀江 なんか、それ聞いたことあるなー。

出口 だから、究極的にオスに求められる機能って生殖機能だけで、脳ミソとかまったく必要ないんですね(笑)。

 

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Photograph/Edit=柚木大介 Text=村上隆保