ファンクラブ化すれば、作家は自由にマンガが描けて安定収入にもつながる
堀江貴文(以下、堀江) あと、comicoさんの取組みの先には、漫画家さんの収入の安定化と継続化みたいなものがあると思うんですよ。
稲積憲(以下、稲積)そうですね。私たちもそう思っています。
堀江 僕は、それが“ファンクラブ化”なんじゃないかと思っているんです。例えば、ミュージシャンには必ずファンクラブがありますよね。一度、ミリオンヒットを出したミュージシャンって、継続的にアルバムを出しても10万枚とか、20万枚売れるし、ライブをやったら「武道館2days」とかできたりする。それって、固定ファンがついてるからなんですよ。
稲積 そうでしょうね。
堀江 漫画家さんって、そういうファンクラブがないのかなって。例えば、『バガボンド』を描いた井上雄彦さんには、たくさんのファンがついています。だから、「『バガボンド』が終わって、次の作品が始まります」ってなったら、みんな新作を読もうとしますよね。
稲積 ええ。
堀江 僕は『頭文字D』を描いた、しげの秀一さんのファンなんですけど、しげのさんが昨年、『高嶺の花』っていう、上下2巻の恋愛マンガを描いたんですよ。50代の漫画家が二十歳くらいの女のコに恋をするみたいなストーリーなんですが、その本が発売されていたことを僕は知らなかったんです。
稲積 あー。
堀江 マンガHONZのメンバーが。定例会で「しげのさんが最近、新しい本を出しましたよ」って教えてくれたんです。
稲積 そうなんですか。
堀江 『Amazon』も教えてくれないんです。僕は『マスターキートン』の大ファンで、Amazonで本を何冊も買っているのに、新作が出てもそれを教えてくれないんです。
稲積 へー。
堀江 そういう部分で、Amazonはユーザーフレンドリーじゃないんですよね。あと、僕は本の著者でもあるからわかるんですけど、レビューもひどいんですよ。あれ、本を買わなくても書けるんです。だから、アンチが嫌がらせの書き込みをすることもできる。そして、そういうのが放置してあって、なかなか削除してくれないんですよ。だから、Amazonとかちょっと腹が立つんですけど。
稲積 本当に著者を大事にしているのか、みたいな。
堀江 でも、comicoさんは、そういうところを大事にしているような気がするんです。
稲積 作家、読者双方に役立つコミュニケーションは大事にしていますね。
堀江 出版社って、どうなんですかね。ファンのデータベースとか作ってあるんですかね。例えば、しげの秀一さんの新作を買う読者って100万人くらいいると思うんですけど、月額500円でしげの秀一さんのファンクラブを作って、10万人の人が入ったら、5000万円じゃないですか。それだけで自由に作品が描けるわけじゃないですか。そのファン向けに描けばいいので、売れ線を狙う必要がないんです。
稲積 確かに……。
堀江 プレッシャーが全然減りますよね。それに定期収入もできるわけだし、その中からヒット作が出るかもしれないし……。
稲積 そうですね。作家が安定的に作品づくりができる環境を用意するのがcomicoの使命だと思っていますので、ファンと作家を結びつける方法を色々と考えているところです。
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