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ホリエモンWITH「この際、オリンピックだからやっちゃいましょう」 竹中平蔵氏に聞く、経済再生と東京の未来とは?その4

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官ではなく民間に任せることでクオリティが上がる

堀江 地下鉄の民営化もやっちゃえばいいんですよね。

竹中 地下鉄の民営化もやっちゃえばいいし、ついでにいうと東京都って、数少ない財政黒字の自治体ですよね。ところが、黒字だから目立たないだけで、実は、日中で一番ムダなものを持っている自治体でもあるんですよ。

堀江 水道局とかね。

竹中 よくご存知ですね。たとえば、新宿のヒルトンホテルの土地は、東京都の水道局が所有しているんですよ。あと、有楽町の交通会館。あのビルの株の50%を東京が持ってるんです。だから、そんなの売っちゃって、売ったお金で「この際、東京でパラリンピックをやるんだから、23区を全部バリアフリーにしよう」とかね。

堀江 あと首都高もイノベーションしなきゃいけない。

竹中 そういう「この際、オリンピックだから」っていう“この際リスト”を作ってみたらどうかと思うんです。

堀江 オリンピックに合わせて、首都高を地下化すると非常に美しい街になりますよね。

竹中 これは逆説的なんですけども、日本橋の橋桁の上に高速道路が通っててすごい批判されるじゃないですか。実は、あんなことやったらダメだっていうのは、みんなわかってたんですよ。でも、“オリンピックだから仕方ない”って、やっちゃったんですよ。ふだんだったら、絶対やらなかったと思うんですよね。

堀江 “この際リスト”は、やった方がいいですね。

竹中 しかし、その「この際やりましょう」っていうヘッド・クォーターがないんですよ。さっき言ったように、イベントをやるっていう組織委員会しかない。本当に“この際リスト”をつくって、そのうちのいくつかを堀江さんにやってもらいたいなぁ。

堀江 いやいやいや。

竹中 ひとつの可能性として、国家戦略特区が使えると思うんです。これは私が提唱して法律になったんですけど、今までの特区は、たとえば東京都が何かやりたいというと、それをまず国に申し出る。そして、国の立場で「これはやってよし」「これはやってダメ」って上から目線で判断して決められていたんですね。でも、国家戦略特区は国を代表した人と、地方を代表した人と、民間の代表が区域会議というものをつくる。そして、この区域会議がミニ独立政府みたいに全部ここで決めていいという仕組みなんですよ。これは、提唱した自分が言うのもなんですけど、画期的な仕組みだと思うんです。ミニ独立政府ですからね。そこで“この際、やろう!”っていうのができるんじゃないかと思うんです。

堀江 あと、とにかく自治体とか政府の事業が多すぎますよね。

竹中 そうです。それに関しては今、取り組んでいて、その第一歩として“コンセッション”というのをやり始めているんです。ご存知ですか?

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堀江 コンセッション?

竹中 コンセッション(Concession)というのは、妥協とか譲歩という意味なんです。たとえば、今、ロンドンのヒースロー空港は民間企業が経営しているんですよ。空港ビルだけじゃなくて、滑走路も管制塔も含めて民間です。オーストラリアも今、すべての空港の運営を民間が行っています。これまで、官が取り組んでいた仕事を民間が行うとどういうことになるかというと、世界のエアラインと交渉して、空港に飛んでくる飛行機の数が3倍になったり、今までターミナルに入っていたお店を見直したり、インセンティブが働くんです。だから、成田空港も羽田空港も同じように所有は国がするけれども、運営は民間に任せればいい。日本もようやく、そういうことができるようになってきたと思うんです。でも、今日お話をしていたようなこと、堀江さんと私の間では、非常に楽しい夢のある話として盛り上がるんですけど、霞ヶ関のほうに行くとハナから問題外みたいなことになる。

堀江 レストランの売り上げなんて、もっと上がるはずですよ。

竹中 空港のビルなんて、ほうっておいても人が来るから、何もやらないんですよ。こんな楽な商売はないから。それに、そこでやっている人は絶対に手放さないでしょ。既得権ですよ。

堀江 道路公団も民営化してから、変わりましたもんね。サービスエリアなんてすごく変わりましたもん。

竹中 本当にそうですよね。日本は何もかもが既得権益の塊で、それにちょっとでも触れようものなら、すごい社会的な圧力を受けますからね。

堀江 竹中さんは、どういう形で圧力を感じていますか?

竹中 たとえば、すごい軽いものだと週刊誌ですね。週刊誌って悪口ばかり書いてますよね(笑)。それで、私が知る限りでは、役所が週刊誌をよく使っています。

堀江 使うっていうのは?

竹中 情報の横流しっていうことです。

堀江 リークするってことですか?

竹中 ええ。私が大臣として構造改革をやってる時に、すごい緊張感が高まってる問題があると、その瞬間、週刊誌に必ずないことないこと書かれる(笑)。これはやっぱり役所が横流ししてるんです。

堀江 じゃあ、御用ライターみたいな人がいるってことですか?

竹中 ええ。場合によると思いますけどね。あとは、取引をしている可能性もありますよね。役所の情報って、みんな欲しいですから。

堀江 それは、何のためにですか?

竹中 たとえば、雑誌やタブロイド誌の記事は、新聞記者がアルバイトで原稿を書いてる場合があるでしょ。そういう人たちは、官僚とのギブアンドテイクでやってる可能性がありますよね。

堀江 情報をもらうためにバーターで書いてるってことですね。

竹中 そうですね。

堀江 逆のパターンは聞いたことありますけどね。検察の人間が、週刊誌の編集長とかに、この記事(の事件を)やりたいんだけどレクチャーしてくれって。

竹中 ああ、それはもちろんあると思いますよ。

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堀江 それ、僕も複数人から聞いた話なんで、「あっ、これは常態化してるんだな」って思いました。

竹中 まあ、書く方とすれば、もおもしろおかしくすればいいわけですから。持ち上げといて、必ず叩くっていうね。堀江さんも随分やられたと思いますけど、書く方は確信犯的にやってますからね。「ここまで書いたら名誉毀損になる、ここまでだったらならない」とか、巧みに書き分けてるじゃないですか。

堀江 僕は、かなりインチキネタを書かれましたよ。

竹中 私も、大臣の時に「竹中平蔵は、地方税を払ってない!?」っていうのをやられたんですよ。で、その文には“払ってない!?”ってクエスチョンが書いてあるんですけど、公職にある人間が法律違反してるって言い切ったら、明らかに名誉毀損になるから、“そうじゃないの?”て疑問形で書いてある。で、一誌だけ言い切ってるのがあったんで、そこは訴えて勝ちましたけど、他は巧みに逃げてるっていうのがわかりました。

堀江 僕なんか「闇カジノに出入りしてる」とか「石垣島で暴力団に会ってた」とか……。

竹中 あははは。すごいな。

堀江 本当に、ないこと、ないこと書かれましたよ。

竹中 最近はいかがですか?

堀江 最近は、あまり書かれないですね。ネットメディアくらいですかね。この間も「新幹線で赤ん坊が泣き止まない論争」とかがあって……。

竹中 ああ、ありましたね。

堀江 あと、巧みに僕のツイートをアレンジして、ちょっとセンセーショナルなことを言っているような見出しをつけて、PVを稼ぐみたいな姑息な手段をとっていたりとかするんですけど、これはもうどうにもできないんですよね。

竹中 まあ。そうですね。

堀江 話は尽きないんですけど、そろそろ時間なので締めなきゃいけませんね。本日は、本当にありがとうございました。

竹中 いやいやいや、こちらこそ、すごくいいヒントをいただきました。ぜひ、一緒にやりましょうよ。

堀江 アイデアだけは、いくらでもありますので。

竹中 今日は本当におもしろかったです。ありがとうございました。

堀江 こちらこそ、ありがとうございました。

 

竹中平蔵(Heizo Takenaka)
公式サイトhttp://www.takenaka-heizo.com
1951年生まれ。和歌山県出身。日本開発銀行、ハーバード大学客員准教授、慶応義塾大学総合政策部教授を経て、2001年、民間人として経済財政政策担当大臣に。2002年、金融担当・経済財政政策担当大臣。2004年、参議院議員に当選し、経済財政政策・郵政民営化担当大臣。2005年、総務大臣・郵政民営化担当大臣を歴任。現在、産業競争力会議メンバー。

Photograph=柚木大介  Edit/Text=村上隆保 Transcription= Noriko Umehara/Mayumi Tsuda