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ホリエモンWITH 「米を23%まで磨き、日本一を目指して造った獺祭」桜井博志が語る日本酒純米大吟醸のこだわりとは? その2

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堀江 実際のところ、30%と23%で差はあったりするんですか?

桜井 理論的には50%磨けばいいんです。50%磨くと外側の雑味の出る部分がとれるはずなんです。ところがお米は自然のものだから、芯がちゃんと真ん中にあるわけではないんですね。だから、やっぱり磨いている意味はあるわけです。ただ、最初は「そんなに磨いてどうするんだ、意味ないだろ」って、ずいぶん言われましたね。でも、それがうちにとっては良かった。そうやって言われることで、こっちも精米歩合日本一から、酒質日本一を目指し始めるわけですから。

堀江 今、23%のフォロワーって出てこないんですか?

桜井 出てますよ。8〜9%のものとか。ただ、米は山田錦ではないですけどね。でも、そうなると、ただ「獺祭より磨きました」っていうことだけになっちゃいますよね。

堀江 酒米って、山田錦以外にもいっぱいあるわけじゃないですか。それなのに山田錦を使う理由は何なんですか? 夏子の酒だと、“龍錦”っていう昔あった酒米を使って特徴を出すっていうことでしたけど……。

桜井 山田錦で作る酒は、非常に品質がいいんです。酒が豊潤で締まるんです。僕らは、わかりやすい会社で“一番良い米で、一番良い技術を使って、一番良い酒を造ればいいじゃないか”という考え方なんです。

堀江 でも、山田錦もいろんなところでとれるわけで、品質のばらつきみたいなものってありますよね。

桜井 もちろんありますよ。だけど、品質のばらつき以上に品種の差のほうが大きいですね。

堀江 たとえばワインだと、同じカベルネ・ソーヴィニヨンでも、産地や畑によって味が違ったりしますよね。

桜井 確かに、田んぼごとに味は違ってきたりしますけど、さっき言ったように品種間の違いのほうが大きいです。

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堀江 いや、僕は逆にそういうブランディングみたいなものができるのかなと思ったんです。同じ獺祭でも、どこどこ産の“プレミアム獺祭”とか、この年のお米はできが良かったとか、そういうのって当然あるわけですよね。

桜井 う〜ん、その反対のプレッシャーのほうがいっぱいあります。たとえば「うちの田んぼで作ったものに名前入れてよ」とか「兵庫のどこそこの米だけで作った獺祭を造ってよ」とか。ただ、うちはそれは受けません。なぜかというと、僕はお米を作る現場にそれほど差があるとは思ってないからです。何とか県産の有名なカニと、その隣の県産のカニで、そんなに味が違うものだとは考えていません。そういうことをするから食品偽装が起こるんだと思っています。だから、うちではそういうことはやりません。

堀江 じゃあ逆に、日本酒メーカーとして、例えばワインだとブルゴーニュで「隣の畑で味がこんなに違う」と言ってることに対して、ぶっちゃけどう思います?

桜井 ワインはブドウつぶして作りますよね。ブドウをつぶすと発酵します。日本酒は米と水で作りますが、まず麹が米のでんぷんをブドウ糖に変換して、そこに酵母がついて発酵するんです。米の場合、麹という仕事がひとつ多く入るんですよ。だから、ワインみたいにブドウの粒ひとつひとつの差が出ないんです。

堀江 麹で平準化されちゃうわけですか?

桜井 というか、ワインでいう畑の違いを、日本酒の場合は麹が請け負っているわけです。だから、ワインと日本酒を同じ切り口では語れません。違うものです。それをちゃんとわかっていただかないと……。

堀江 僕、そんな説明をされたの初めてですよ。こういうことをきちんと話される方って、あまりいないですよね。