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「水を分解して燃料を作る」 関西学院大・橋本秀樹教授が語る 人工光合成の最前線 後編1/2

プラチナは隕石で地球にやってきた!

<前編はこちら>

橋本 話を人工光合成に戻すと、今は「人工光合成で水素を作る」って言ってますけど、ファイナルアンサーは「水素ではなく、人工光合成で燃料を作る」ことなんです。水素(H)と二酸化炭素(CO2)があるとメタノール(CHOH)ができるんですよ。その触媒が欲しいんです。

堀江 今はどのくらいまでできているんですか?

橋本 今は「ギ酸」くらいまでは普通にできています。

堀江 ギ酸って、化学式はなんでしたっけ?

橋本 「HCOOH」です。「CO」に「H」がついただけ。

堀江 そこからメタノールにするのは難しいんですか?

橋本 分子状の水素ができれば、そこに二酸化炭素(CO2)をくっつければいいので、たぶんメタノールは作れると思います。

堀江 でも、そこに触媒が必要なんですよね。

橋本 そうですね。必要です。

堀江 とすると、今はどのくらいまでできてるって言えるんですか?

橋本 ある程度のレベルまではできています。一番ネックなのは、水を完全に分解して、そこからプロトン(陽子)を取り出すための触媒が貧弱だということです。プラチナに勝てないんですよ。

堀江 あー。

橋本 でも、プラチナも光を当てたからといって水を分解できるわけではない。結局、太陽電池とくっつけなければいけない。それだと人工光合成の意味がないんです。やはり、太陽光エネルギーを直接あてて水を分解し、ボコボコって水素が出てこなければいけない。そこが難しい。

堀江 酸化チタン(TiO2)は?

橋本 酸化チタンでもできます。でも、可視光線の領域ではなく、短波長光(紫外線)でないといけない。効率が悪いんです。

堀江 なるほど。

橋本 それだったら、太陽電池とプラチナをつないで水を電気分解したほうが早い。

堀江 やっぱりプラチナなんだ。

橋本 プラチナは最高なんですよ。でも、プラチナは隕石にしか乗ってこないから。

堀江 そうなんですか?

橋本 プラチナは大きな隕石がアフリカに落ちたときに含まれていたものなんです。だから、その大きなクレーターの周りでしか採掘できない。あれだけ原子番号の大きな安定金属って、中性子星でしかできないんです。

堀江 プラチナはめちゃめちゃ安定ですもんね。

橋本 安定しているけれども、すごく加工しやすく、触媒活性も高いんです。

堀江 金はダメなんですか?

橋本 金は安定しているけれども触媒活性が低いんです。

 

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