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「水を分解して燃料を作る」 関西学院大・橋本秀樹教授が語る 人工光合成の最前線 後編2/2

火星で人工光合成を行なう計画が進んでいる

堀江 僕、メタンの話がすごく気になっていて、宇宙開発では何もないところでメタノールを作ることがすごく大事なんです。

橋本 それは地球外でっていうことですか?

堀江 火星探査で、です。

橋本 火星探査のためにメタンを作って持っていくのか、向こうで作るのか?

堀江 向こうで作るんです。地球から宇宙の地球周回軌道に持っていくのに、ロケット1機のペイロード(可搬重量)は100分の1くらいなんです。だからめちゃめちゃ効率悪いんですよ。火星だと、それが1000分の1くらいになる。だから、向こうで燃料を作らざるを得ないんです。

橋本 そうですね。

堀江 イーロン・マスクのスペースX社がやっている火星探査ロケットの燃料は液化メタンなんです。液化メタンと液体酸素で飛んでいく。すると、火星にはおそらく二酸化炭素と水があるので、そこでメタン(CH)を作りたい。

橋本 なるほど。

堀江 だから、メタンを作るためのプラントみたいなものを火星に最初に作るんだと思います。

橋本 そうすると、人工光合成ですね。

堀江 そうなんです。たぶん、人工光合成研究で一番お金がつきそうなところって、そこだと思うんです。

橋本 そうか。

堀江 あと、スペースエレベーターも地球ではなくて、火星だと思っているんです。あれ、基本的には赤道上空にしか建設できないんですが、地球なんて静止衛星とかがたくさんいるんですよ。

橋本 ゴミだらけですもんね。

堀江 あと、素材的にもカーボンナノチューブとかを使った繊維でなんとかなるんじゃないかという話もありますが、地球の重力に耐えられるかどうかわからない。でも、火星の重力だったら可能なはずです。

橋本 そうなんですね。

堀江 だから、火星の地上プラントで水と二酸化炭素からメタンを作って、スペースエレベーター経由で軌道ステーションに送る。そして軌道ステーションで燃料を補給できるようにしておくと、着陸しないですむんです。火星って、大気が薄いので着陸するのが大変なんですよ。地球は大気が濃いので、適切な角度で突入すれば勝手に減速して降りられる。

橋本 はい。

堀江 だから、ぜひ、人工光合成を完成させてください。

橋本 火星で、ですかね(笑)。

堀江 火星で、ですよ!

橋本 わかりました。

堀江 では、本日はありがとうございました。

橋本 こちらこそ、ありがとうございました。

 

Photograph/Edit=柚木大介 Text=村上隆保