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脳のダメージを修復する!「サンバイオ」森敬太社長が語る 再生細胞医薬品開発の現状 前編1/2

森 敬太 Keita Mori
サンバイオ株式会社 代表取締役社長 1967年生まれ。東京大学農学部卒、同大学大学院院農学系研究科終了。その後、米カリフォルニア大学バークレイ校でMBA(経営学修士)を取得。1993年に「麒麟麦酒株式会社」に入社。2001年に米国で「SanBio, Inc.」を設立。2013年に日本法人「サンバイオ株式会社」を設立し、2014年に日本法人を親会社化。日米での事業展開を推進する。

今は「脳は再生できる」時代

堀江貴文(以下、堀江) 「サンバイオ」は、もともと脳の再生を目的に作られた会社なんですか?

森敬太(以下、森) ええと、その質問には「イエス」と「ノー」の両方がありますね。サンバイオは、2001年に東京大学の同級生と2人で立ち上げたんですけど、その時は「バイオ関連で何か面白いことをやろうぜ!」という感じでした。でも、数ヶ月後に慶應義塾大学の岡野栄之教授(再生医学・神経科学の第一人者)にご協力いただけることになって、「それだったら、脳の再生医療をやろう!」と決めました。だから、イエスでもあり、ノーでもあるんですよ。

堀江 でも、よく一番難しいことをやろうとしましたよね。時間もめちゃくちゃかかりそうなのに……。

森 みんなに言われます(笑)。今年で19年目になるんですけど、まだ製品が出ていませんから。

堀江 19年は、長いですよね。

森 はい(笑)。初めから19年もかかるとわかっていたら、おそらくやっていなかったと思います。

堀江 今は治験をやっている段階ですか?

森 外傷性脳損傷という病気に対する治験はフェーズ2といわれる段階まで終わりました。今は製品開発の最終段階で、来年、厚生労働省の承認が得られれば、薬品の販売を目指すという段階です。

堀江 ところで脳の再生って、どういうメカニズムなんですか?

 簡単に言うと、再生細胞医薬品(SB623)を脳の中に入れると、さまざまなタンパク質が出て、患者さん自身が持っている再生機能を引き出すということです。

堀江 でも、脳は再生しないって言われていますよね。

 はい。これまでは再生しないと言われていましたし、医学書などには、今でも「再生しない」と書かれています。ただ、1998年に岡野先生が初めて脳の中で分裂する神経幹細胞を見つけて、それをきっかけに「脳は再生するかもしれない」と世界中で研究が始まったんです。そして、最近わかってきたことは、例えば「小さな脳梗塞は気づかないうちに再生して治っていることがある」ということ。しかし、大きな脳梗塞になると再生機能が十分に働かないために「脳は再生しない」と思われているんです。

堀江 まあ、脳以外の多くの部位は再生しますからね。

 はい。

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