ホリエモンおすすめ

栄光なき天才たち 宇宙を夢みた人々え


私が宇宙ロケットを開発しているのは多くの人がご存知だろうが、私のロケット開発は単に先人たちが辿ってきた道をなぞっているだけだ。道無き道を切り拓いていくのが如何に大変かは、この漫画を見ればよくわかる。中でもページの多くを割いて描かれているヴェルナー・フォン・ブラウンは奇才中の奇才である。彼が居なければおそらく人類は宇宙に飛び出せていない。ましてや月世界旅行なんて夢のまた夢だったかもしれない。それくらいスケールが違う。

この漫画にも登場するツォルコフスキーの理論により、SFの世界だった宇宙が理論的には到達可能だということがわかり、様々な人々が宇宙へと挑戦することになるが皆失敗した。しかしフォン・ブラウンは違った。ナチス・ドイツという悪魔に魂を売ってドイツという国家規模を大きく超えるクラスの予算を獲得し、世界初のロケットでありミサイルであるV2(A4)を開発し打ち上げに成功する。今のような電子機器のセンサーなど無い時代である。文字通りのジャイロ(地球こま)から機械的に計算してエンジンの噴射口につけられた方向舵を動かすというテクニックを駆使して慣性誘導を行ったのである。

ナチスに魂を売りながらも月や火星、そして他の惑星系まで到達するロケットを構想し、巧妙に自分の意図を隠しながら軍事予算を獲得する。ナチスが危ういと判断したら速攻で、亡命を画策しアメリカに渡り、やはり素晴らしい才能でNASAの中枢へと上り詰める。元ナチスの高官という立場だった彼がアメリカの市民権を得たのは彼の余りある才能によるところが大きい。

そして遂に彼の長年の夢だった月世界旅行がアポロ11号で実現する。本当は彼自身が「人類にとっての大きな一歩」を踏みしめたかったのだと思うのだ。

残念なことに彼は癌で若くして亡くなってしまったが、もし長寿を全うすることができたら既に人類は火星に行っていると確信する。それくらい彼の夢に向けての実行力は飛び抜けていた。彼のような才能が再び人類を引っ張っていくことを期待する。

マンガHONZ http://honz.jp/articles/-/40214