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ホリエモンWITH 「日本初のタクシー配車アプリを開発」 日本交通・川鍋一朗が語るタクシー業界の未来とは? 後編2/2

ホリエモンWITH 堀江貴文 川鍋一朗

品質とローカルな需要でUberに対抗する

堀江 でも、ここ数年でタクシーもだいぶ変わりましたよ。大きく変わったのは、電子マネーに対応したことですね。

川鍋 そうなんです。私も「川鍋、Suica入れてくれて良かったよ」って、よく言われるんです。Suicaを入れて「決済って、めちゃめちゃキラーコンテンツなんだ」っていうことがわかりました。

堀江 僕は「なんで早くやらないんだろう」と思ってましたけどね。

川鍋 Suicaのリーダーが高かったんですよ。

堀江 本当は鉄道ではなく、タクシー業界が先に電子マネーをやるべきだったんですよ。だってタクシーのユーザーって、どちらかっていうと富裕層じゃないですか。平均年収の高い人が多いはずなんです。だから、その人たちのニーズを取るべきなんですよ。だから今後は、スマートチェックアウトをやるべきなんです。Uberみたいに事前にアカウントを登録しておいたら、タクシーを降りる時に支払いはしない、みたいな。実は、そのカードアカウントを持ってるかどうかって、けっこう大きいと思うんですよ。

川鍋 ああ、大きいですよね。

堀江 これまでタクシー会社って、顧客とのエンゲージメントがたぶんできてなくって、それができるようになるとビッグデータの活用ができるようになるんです。この間、たまたまタクシーの業者向けにタクシーのホットスポットを見つけるサービスの話を聞いたんです。「稼ぐドライバーは、ヘビーユーザーが降りる場所を全部記憶している」と。そうすると、今度はそのあたりを流していると、ヘビーユーザーが乗ってくる確率が高いわけじゃないですか。そういったデータは取ったりしているんですか?

川鍋 試みてはいます。ただ、そのデータを集めるお金を誰が出すかというところでつまずいているんです。

堀江 どういうことですか?

川鍋 会社がそのお金を負担してもリターンが少ないんですよ。乗務員に行く場所を示すようなシステムを作ると、売上げは1、2割程度上がるんです。

ホリエモンWITH 堀江貴文 川鍋一朗

堀江 はいはい。

川鍋 でも、全体の売上げの7割が乗務員さんの賃金になって、当社には3割しか入ってこないので、そのシステムのコスト負担するのはこの比率では厳しいんです。「じゃあ、乗務員さんのほうにも負担してもらえばいい」と思うんですが、「設備投資や営業費用の一部を乗務員に負担させてはいけない」という法律ができたので、それもできないんです。

堀江 厳しいですねえ。

川鍋 それに流しのタクシーのあるエリアって、東京や大阪、福岡など政令指定都市ぐらいで、他の地域はあんまり関係ないんです。

堀江 なるほど。

川鍋 しかも、それを全員が使ったら、みんながそこに行って交通事情がおかしくなってしまう。そういうところで、今、ストップしているんです。もちろん、タクシー会社にとったら1円でも儲かればうれしいので、やるかやらないかと言ったら、今後、また考えますけれども……。

堀江 投資額対費用効果の問題ですね。

川鍋 それよりも、プローブデータ(実際に走っている車から得られるデータ)をVICS(道路交通情報通信システム)に売るほうが、リアルなお金が入ってきますから……。今回、タクシー業界で作ったアプリは約1万台のプローブデータが取れるんですよ。

堀江 1万台だと、結構、いいデータが取れますね。

川鍋 そうなんです。そうすると災害時などにも活用できますから。

堀江 自動運転についてはどうですか? 今、何かやられてますか?

川鍋 正直、すごく悩んでいるところです。車が自動運転になってしまうと、我々はかなり厳しいんです。タクシー会社のコアスキルというのは乗務員の労務管理で、ひとりひとりの乗務員の気持ちを大事にすることなんです。それが、自動運転になって乗務員が必要なくなると、単純な投資事業になってしまいます。そうなるとレンタカー会社とか、資金がたくさんある会社が有利なんです。

堀江 まあ、そうなりますね。

川鍋 この間、イギリス・オックスフォード大学のマイケル・オズボーン准教授が「雇用の未来」という論文を発表しました。そこには「今後10年から20年の間にコンピュータに仕事をとって代わられる可能性のある702の職種」が、可能性の低い順でランキングされていて、タクシー乗務員は531位でした。これは702位が一番なくなる可能性が高いということですから、タクシー乗務員は20年以内に仕事がなくなる可能性の高い職業の2割以内に入っているということです。

堀江 10年、20年のタイムラインだと、わりと現実的ですよね。

川鍋 そうなんです。それで、じゃあコンピュータ化されにくい職業は何かと上から順番に見ていくと、「セラピスト」や「ソーシャルワーカー」などが10位以内に入っているわけです。そこで、堀江さんみたいな健康な人は自動運転のタクシーを利用するとしても、おじいちゃん、おばあちゃんや子どもさんが乗る時には「やっぱり誰か大人がついていなければ不安だ」ということになると思うので、タクシー乗務員がそういう役割を担うことはできないかと考えているんです。

堀江 介護タクシーとか?

 

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Photograph/Edit=柚木大介 Text=村上隆保