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「先読みする」技術で世界一を目指す。 金沢大学准教授・菅沼直樹が語る 車の自動運転研究の最前線 前編1/2

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菅沼直樹(Naoki Suganuma)
金沢大学理工研究域准教授
1975年生まれ。金沢大学大学院卒業後、日本学術振興会特別研究員を経て、金沢大准教授に。

2020年を目標に自動運転の研究を進めている

堀江貴文(以下、堀江) 自動車の“自動運転”を研究している企業や大学が、今、世界中で増えていますよね。

菅沼直樹(以下、菅沼) 増えていますね。特にアメリカやドイツが力を入れて研究しています。日本は残念ながら、若干遅れているというか、これまでは違う方向性のところに力を入れてきました。

堀江 違う方向性のところ?

菅沼 ええ。例えば「ITS(高度道路交通システム)」といって、交通事故がどこで起きているかなどを伝える道路情報システムをずっと研究していたんです。それで、2007年にアメリカで自律型の自動運転車のコンテストが街の中で行われまして……。

堀江 『DARPAアーバンチャレンジ(アメリカ国防高等研究計画局によるロボットカーレース)』ですよね。

菅沼 そうです。あの頃から急に自動運転の研究が進んだんです。

堀江 やっぱり、あれがきっかけだったんですか……。

菅沼 1990年代初頭にアメリカの『カーネギーメロン大学』が、自動運転で西海岸から東海岸までを走破しているんです。ただ、当時はバスやトラックの中に大型コンピュータを入れて、いわば実験室ごと移動するようなものでした。それが、最近はコンピュータの性能が良くなり、センサーもいいものが作られるようになったので、小型の自動車に積めるようになってきたんです。

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堀江 やっぱり、スマートフォン革命の影響が大きいですよね。

菅沼 そうですね。『Google』が自動運転の開発をするようになったのもスマホが出た影響が大きいと思います。それからGoogleの自動運転車の屋根の上にグルグル回るセンサーがついていますけど、あのセンサーが開発されたこともすごく大きいんです。『DARPAアーバンチャレンジ』が開催されたとき、あのセンサーが自動運転を成功させるためには必要不可欠でした。

堀江 センサーは、どこのメーカーが作っているんですか?

菅沼 『Velodyne(ベロダイン)』という会社です。もともとはオーディオなどを作るメーカーでした。その会社の社長が、自動運転にすごく興味を持っていたらしいんです。

堀江 ああ……。

菅沼 実は、『DARPAアーバンチャレンジ』が行われる4年前に、『DARPAグラウンドチャレンジ』(という市街地ではなく砂漠を自動運転で走破するコンテスト)がありまして、そのときにベロダイン社は今のベースになるセンサーを車に搭載してレースに参加しました。そして、高い評価を受けて、その後にセンサー供給メーカーになり、今ではほとんどのチームがベロダイン社のセンサーを使っているんです。

堀江 それだけ優れたセンサーだということですね。

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菅沼 そうですね。でも、そのセンサーを日本で買おうとしたら1台約1300万円くらいしちゃうんですよ。それに重量も10kgくらいあるので、そのまま一般車に積むということは想定しにくい。

堀江 そうでしょうね。

菅沼 それに車の屋根に載せなくてはいけないので、デザイン的にもどうなのかなと思って……。あくまでも研究用のセンサーということですね。

堀江 でも、ベロダイン社も新しいセンサーを作っていそうですよね。

菅沼 そうですね。『DARPAアーバンチャレンジ』は、自動車の自動運転のコンテストではあるんですけど、もともとは軍事目的でした。だから、センシングが最重要事項で、当初はデザインとかあんまり考えていなかった。ただ、ここまでくると、ベロダイン社以外のメーカーも一般利用できるセンサーの開発を進めているはずですから……。

堀江 もっと小さくて、格好良くて、分解能のいいものがすぐに出てくるでしょうね。

菅沼 そうですね。

堀江 じゃあ、高速道路などの自動車専用道路では、自動運転はほとんど実用化できるレベルにまできているんじゃないですか?

菅沼 今は「2020年までには」という目標で、研究者の皆さんが開発を進めている段階ではありますね。

 

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