WITH

Jリーグチェアマン・村井満氏が語る 日本サッカーの問題点と未来とは?前編1/2

DSC_9754

村井満(Mitsuru Murai)
第5代Jリーグチェアマン
1959年生まれ。埼玉県出。早稲田大学卒業後、1983年、『日本リクルートセンター(現リクルートホールディングス)』入社。同社執行役員、リクルートエージェント(現リクルートキャリア)社長などを歴任。2008年より日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)理事を務め、2014年1月31日に第5代チェアマンに就任。

Jリーグは多くのローカルスターを生み出している

堀江貴文(以下、堀江) Jリーグのアドバイザーになって、皆さんと会食した時の話はすごく面白かったですよね。「プロスポーツリーグが成功する3要素とは何か」とか。

村井満(以下、村井) ああ、あれは確か「スタジアム」「スター選手」「デジタル技術」の3つですよね。

堀江 ええ。そして、今のJリーグにはその中でも「スター選手」が欠けているんじゃないかという話になって、「確かにそうだな」と思いました。今、多くのスター選手はヨーロッパなどに行ってしまって、Jリーグにはあまりいませんよね。日本代表の試合とJリーグの試合が決定的に違うのは、やはりそこだと思うんです。

村井 そうですね。でも、今、海外にいる選手のほとんどは、もとはJリーグにいた選手なんですよ。Jリーグで頭角を現して海外から声がかかった。だから、「Jリーグにスター選手がいない」のではなくて、問題は「スター選手を表出する努力が十分じゃない」ことだと思うんです。

堀江 ああ、そうですね。

村井 ひとつの考え方として、冨山さん(冨山和彦Jリーグアドバイザー/経営コンサルタント)が提唱されている「L型」「N型」「G型」というのがありますよね。

DSC_9672

堀江 「ローカル(L型)」「ナショナル(N型)」「グローバル(G型)」ですね。

村井 そうです。例えば、2014年にJ3ができましたけれども、それまで秋田市(秋田県)や盛岡市(岩手県)の人たちは、遠くの存在として野球やサッカーを見ていたと思うんです。しかし、地元のチーム(『ブラウブリッツ秋田』や『グルージャ盛岡』)がJ3で試合をするようになると、サッカーチームが身近な存在になって、全国的には知らないかもしれないけれど地元ではヒーローになっている選手が現れるわけです。

堀江 はい。

村井 実は、Jリーグは他の競技団体に比べて、かなり多くのL型(ローカル)のスター選手を輩出しているんですよ。

堀江 なるほど。

村井 2014年に『あきぎんスタジアム』(秋田市)を訪れました。ここをホームスタジアムとして戦っているJ3のブラウブリッツ秋田の一試合当たりの平均入場者数は2000人に満たない程度で、これからもっと来場者を増やしていかなければならないのです。秋田県は65歳以上の高齢者人口の割合が一番高い県です。ところがスターティングメンバーの紹介を今風のカタカナ英語みたいな感じでやっていた。それだと、やはり年配の方には伝わりにくいんです。そこで「高齢者が多いなら秋田弁でやろうよ」という話になりました。

DSC_9673

堀江 (笑)

村井 で、試合前に私が挨拶するので、まずはその時の紹介を秋田弁でやろうということになったんです。「あんべ悪りぃ天気の中さやってきて、なんとかさ……。では、Jリーグチェアマンの村井さまより、ひとごと言葉っこちょうだいしたいと思います」って。そうしたら、スタジアムの雰囲気がものすごく柔らかくなったんですよ(笑)。

堀江 へー。

村井 それで、「これだ!」と思って、ブラウブリッツは選手紹介やアナウンスを秋田弁でやり始めました。

堀江 そうだったんですね。

村井 だから「サッカーの選手紹介といえばこうだ」とか「演出はこうだ」とか「照明はこうだ」とか、ステレオタイプなことは一度忘れたほうがいいんだと思います。

堀江 やっぱり、スタッフの多くは仕事がルーティンになりがちですからね。

村井 秋田には秋田の「オリジナリティー」とか「ユニークネス」があるのだから、そうしたローカルの良さをもっと取り入れたほうがいいんでしょうね。そうしたちょっとした工夫で「L型」のチームはすごく盛り上がるし、スター選手も生まれてくるかもしれない。

次のページに続く