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AIの有効活用と人財の育成はいま取り組むべき“事実” 前編 1/2

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岡田陽介 Yousuke Okada
株式会社ABEJA代表取締役社長CEO

1988年生まれ。愛知県出身。2011年にウェブサービスなどを提供する会社「響」を設立し、取締役に就任。その後、「リッチメディア」を経て、2012年9月にディープラーニングを活用した産業構造変革をする会社「ABEJA」を設立。

一般の人は、まだまだAIのすごさをわかっていない

堀江貴文(以下、堀江) 岡田さんがCEOをされている「株式会社ABEJA」の主要事業は、人工知能(AI)を活用したインストアアナリティクスですよね。

岡田陽介(以下、岡田) はい。私達が提供しているクラウドサービスは「ABEJA Platform」という、人工知能のブレイクスルー技術であるディープラーニングをクラウド上に仮想化し、汎用的に提供できるようにしたものです。これを小売・流通業に適用したものが「ABEJA Platform for Retail」で、簡単にいうと実際の店舗からあらゆるデータを取得し、ディープラーニングを利用して解析、可視化しています。例えば、店舗内にセンサーを置くことで来店者の「数」「年齢」「性別」「滞在時間」「店内での動線」「行動」などを把握することができます。こうして得られたデータを他の様々なデータと組み合わせ解析することで、店舗が抱える様々な問題がわかるのです。

堀江 岡田さんはAIをうまく利用してますが、一般の人はなかなかAIってわからないですよね。バズワードとしてはわかるけれど、それがSiriとかソフトバンクのPepperとか、自動運転車のテスラなんかとつながっていることがわからないんですよ。

岡田 ああ、そうかもしれないですね。僕がAIのすごさを目の当たりにしたのは、シリコンバレーに滞在していた2012年です。ディープラーニングという技術がGoogleやFacebookのトップエンジニアの間で話題になっていました。これまで、AIの中で主流であった技術の精度を凌駕する成果が生まれ、革命が起きたみたいでした。「これまで不可能だと思っていたことが、ディープラーニングによって突然可能になった」と感じました。

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堀江 なるほど。僕にもそれと似たような経験があります。僕の場合は1995年のインターネット革命ですね。「何だ、これは!」って興奮して、すっかりハマってしまいました。でも、僕と同じようにその場に居合わせた人はいっぱいいたんだけど、彼らの多くはなぜか興奮しなかったんです。目の前で起きている“事実”の意味が見えていなかった。

岡田 そうですか。僕にとってディープラーニングは、すごい“事実”だったんです。その事実に触れて変わりました。

堀江 その“事実”の意味がわかるか、わからないかの違いですね。

岡田 そうですね。

堀江 あと、iPhoneが発売された2008年の「スマートフォン革命」が、やっぱり奇跡だと思います。そこからすべてが始まっていますから。でも、スティーブ・ジョブズは、そのすごさをわかっていなかったと思うんです。ジョブズは、自分が作りたいと思うデバイスを作ったら、期せずしてそこに行き着いちゃった。

岡田 なるほど。

堀江 彼を描いた映画の中で、アップル社をクビになったジョブズが、自分の理想のコンピュータであるNeXTcubeの“形”にこだわっているシーンがあるんですよ。それを見ながら僕は、「これiPhoneだよな」と思いました。この人、25年も前にiPhoneを作りたかったんだって。NeXTcubeは四角形の黒いスタイリッシュなワークステーションなんですけど、iPhoneそのものですよ。搭載されていたOSのNEXTSTEP(オブジェクト指向のマルチタスクOS)は、現在のOS XやiOSにつながっているし、ディスプレイポストスクリプト(PostScriptと呼ばれる記述言語を用いた、イメージをコンピュータのディスプレイ上に表示するための技術。ディスプレイ上に印刷物と同等の高品質なグラフィックスや文字を表示することが可能になる)も画期的だった。

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