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「治療よりも予防」医師・徳田安春が語る 「総合診療」の重要性とは? 前編1/2

徳田安春 Yasuharu Tokuda
総合診療医、筑波大学客員教授
1964年生まれ。琉球大学医学部卒業後、沖縄県立中央病院、聖路加国際病院
、筑波大学付属水戸地域医療教育センターを経て、独立行政法人地域医療機能推進本部顧問に。総合診療の重要性を説き、総合診療医の教育に力を注いでいる。

AIは放射線診断学と病理診断学の分野で専門医のレベルまできている

堀江貴文(以下、堀江) 徳田さんが進められている“総合診療”というのは、どういう医療なんですか?

徳田安春(以下、徳田) 現在の日本の医療は専門分化が進んでいて、専門医は「自分が専門とする臓器が病気であれば治療する。でも、専門の臓器以外は関与しません」という立場になりがちです。それに対して総合診療は、「患者さんが悩んでいることであれば臓器に関係なく、できる範囲内で健康問題を解決する努力を一緒にやる」という考え方の医療です。

堀江 なるほど。

徳田 病院にやってくる患者さんの多くは、簡単な治療でたいてい治ります。手術や化学療法など、特別な治療が必要な人はおそらく10%以下でしょう。なので、まずは多くの患者さんのニーズに応えられるように「健康問題について総合的に相談・診療できる医師になりましょう」ということです。

堀江 でも、そうなると総合診療医の絶対数は足りなくなるんじゃないですか。

徳田 はい。ですから私たちは、学生や研修医、若手の医師らに総合的な視点を持って医療活動をしてもらうように訴えています。実は、今の日本の医療の大きな問題のひとつに「満足度が低い」ということがあります。

堀江 わかります。僕は病院で診療までの長い待ち時間がとにかく嫌なんです。だから、高いお金を払ってでも待ち時間のない病院に行っています。

徳田 他にも、「医師が自分の話をきちんと聞いてくれない」という不満もあります。

堀江 なるほど。でも僕は、話を聞いてくれない問題も含めて、患者さんの診断などはAI(人工知能)の活用ができると思うんです。

徳田 私もAIには興味があって研究をしています。実は、放射線診断学と病理診断学の分野では、AIがほぼ専門医のレベルまできているんです。

堀江 そうでしょうね。

徳田 そして、数年以内に専門医を超えるだろうといわれていて、大部分の仕事をAIがやってくれるはずです。

堀江 ということは、AIなどを使って問診すれば、患者さんの病名や治療方法などはある程度わかりますよね。

徳田 そうですね。実は今、私たちはそういった様々な診断システムを開発している最中なんです。患者さんの症状や所見を入力して、危険な病気を見落とさないことを重視して、診断のサポートをしてくれるのです。こういうAIを活用した医療は、イギリスやアメリカなどではものすごい勢いで進んでいるんですよ。

堀江 やっぱり。

徳田 例えば、イギリスでは、NHS(National Health Service)という国の医療サービスがあり、グーグル子会社の「ディープマインド」社と連携して何百万人のデータを利用してディープラーニングによる診療支援をやっているそうです。

 

 

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