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堀江貴文×村上世彰対談 vol.4

アートが世の中を変える!?

堀江 僕たちってストレートすぎて反発を受けるじゃないですか。それに対して例えば猪子くんとかうまくやってる。猪子くんは結構世の中変えると思いますよ。

村上 僕が彼を紹介したんだ。

堀江 村上さんが一番最初に「猪子は面白い、猪子は面白い」って言うから。

村上 いまだに面白いと思うけどね。

堀江 この間やった猪子くんと僕の対談はすごく面白くて。歴史に名を残すのは革命家と科学者とアーティストであるっていう。革命家が世の中に名を残したのは何となく分かりますよね。科学者も分かりますよね。でもなんでアートなんだ?と。アートっていうのは世の中を大きく変えてきたんだと。だから歴史に名を残してるなと。

村上 うん。

堀江 例えばアンディー・ウォーホルの話。アンディー・ウォーホルはマリリン・モンローやキャンベルスープのアートを同じ時期に出したんですけど、あれによって「人気であることは価値がある」という概念を示したんですね。そこからラグジュアリーブランドというビジネスモデルが生まれたわけですよ。当時ルイ・ヴィトンって確かパリに3軒しかなかったはずです。全部オートクチュール。だけど、ウォーホルが出たことによって、人気であることは価値あることだと分かった。要は、キャンベルスープもマリリン・モンローも同じなんだという概念を示すことによって、大量生産品というのは庶民のものだ、貧乏人が買うものだという考え方が大きく変わったんです。そして今は大量生産されたルイ・ヴィトンを金持ちがこぞって買うような時代に。結果アートをきっかけにものすごい膨大な何十兆というマーケットが生まれたわけですよ。だからアンディー・ウォーホルは歴史を変えた。そういうふうに猪子くんは仕事を捉えてるんだと思うんです。

村上 なるほど。

堀江 アートって間接的なアプローチをしているから叩かれないじゃないですか。世の中は変えられるけど叩かれないっていう。

村上 猪子の名誉のために言うと、叩かれないからそうやってるわけじゃなくて、そういうのが好きだから。

堀江 いや、彼は叩かれないことをすごくやっぱり考えてますよ。

村上 それは堀江から学んだ?

堀江 そうそう。

村上 彼に会ったのは06年か07年で、当時、僕は青山に大きなビルを持っていて、その時猪子がそのビルのデザインを全部自分にやらせてくれと言ってきたわけ。ものすごい面白い子ですよ。「2,000坪の1区画を全部僕にデザインさせてくれ。これは村上さんビルとして名を残すし、僕の最高の作品を作る」って。ムチャクチャですけど今思えば、やらせてあげればよかったのかもしれない。

堀江 だから僕もアートやろうかなと思って。アートで変えていけばいいんだと思って、今、どんなアートしようかなって考えてます。

村上 それちょっと違うんじゃないの? 叩かれないからアートしようって、アートって才能があるでしょう。

堀江 いや、概念を作るんで。何がこれから来るのかっていうのは分かってるんで、それをただアートに変換すりゃいいだけの話で。別に僕が作る必要ないんですよ。

村上 なるほど。

堀江 これからはキュレーションの時代。分かりやすいのがDJで、音楽業界で最も稼いでるわけです。音楽業界はデータ量が少ないからイノベーションが一番先に来る。だから、音楽業界をベンチマークしていれば世の中の流れってよく分かってくるんです。要はDJをやればいいんですよ。

村上 うん。

堀江 例えば料理も最近DJの時代になっていて。食べ歩いてるやつがプロデュースをし始めてるんですね。食べ歩いている人のほうが、技術を持っている料理人よりも力関係が上になってるんです。それはたぶんすべての世界で起こってくる事で、おそらくアートの世界でもそれが起こる。こういう素晴らしいアートを作る人と、こういう概念がこれから来るからこれをアートでどうやって表現するのか、みたいなのを組み合わせて考えればいいだけの話で。

今はスマホとかインターネットがあるんで、国境なんか簡単に超えちゃってるわけじゃないですか。なんでこんなところに国境があるんだろう?ってみんな思ってるわけです。国境を超える時にパスポートが必要だったりとか、関税がかかったりとか「なんか変だよね」ってみんなすごいストレスに感じてるんだけど「なくてもいいんだよ」っていうことをアートを通して言ってあげると。「じゃあ国際間送金はビットコインでいいじゃん」みたいなことをストレートにドーンと言っちゃうと、いろんな規制当局から横やりが来るわけですよ。でも、簡単に超えられるんだってみんなが思うような何かアート作品を見ると、「あ、超えていいんだ」とか「ボーダーなんかあるようでないんだ」ってみんなが気づいて、ムーブメントが生まれて、「あのアートがきっかけだったよね。ホリエモンのあのアートだよね」ってなるわけですよ。

村上 なるほど。アートプロデューサーっていう言い方でいいのかな。

堀江 アートプロデューサーでもなんでもいいんですけど、もはや才能あるアーティストが1人で作る時代ではないんですよね。

村上 でも、そのチーム作るのも結構難しいと思う。そんな簡単じゃない。

堀江 もちろん。

村上 彼は彼なりに自分たちの蓄積されたトータルの技術が相当あると思ってるんだよね。

堀江 別に猪子くんに対抗してどうのこうのっていうよりは、僕も何か面白いことができるんじゃないかなと思いました。あいつ、なんかよく分からないんだけど、「堀江さん、アートの世界はブルーオーシャンなんで来ないでください」とか言うくせに、いろいろ教えてくれるんですよ(笑)

 


Text/Edit=柚木大介 Photo=榎本麻美/文藝春秋