WITH

「線虫でがんを検知する」 理学博士・広津崇亮が語る がん検査の未来とは?前編2/2

機械はたくさんの匂いの中から、ひとつの物質の匂いを感知することができない

堀江 その受容体は、どういった物質を感知しているんですか? 例えば硫化水素みたいなものなのか、もっと分子量の多い有機物なのか。

広津 それが、あまりカテゴライズされていないんですよ。硫化水素に反応する受容体もあれば、高分子有機化合物である炭素鎖の数で反応する受容体もあります。

堀江 炭素鎖の数に反応するのは、何か意味があるんですか?

広津 おそらく、「餌か餌ではないか」「好きか嫌いか」以外にも様々な情報を得ているのだと思います。

堀江 うーん。じゃあ、例えば「匂いセンサー」みたいなものを作ろうとしたら、どういうアプローチが考えられますか?

広津 受容体を何かのデバイスに埋め込んでいくということは考えられますが、人工匂いセンサーを作るのは、今は難しいと思います。

堀江 それはなんでですか?

広津 理由は、嗅覚は「微量の物質を検知する精度(=感度)」と、「たくさんの匂いの中からひとつの物質だけを検知する選択性」が必要なんですが、機械では感度を高めることは可能かもしれませんが、選択性が保てないんです。ノイズも一緒に拾ってしまう。嗅覚のすごいところは「たくさんある匂いの中から、すごく微量な物質をひとつだけ識別できる」ということです、これをセンサーでやるのは、かなり難しい。

堀江 生体模倣的なアプローチはできないんですか?

広津 生体模倣がほぼ不可能というのが嗅覚なんです。

堀江 逆に、なんで生体はできているんですか?

広津 それが、100%わかっていないんです。

 

 

この続きは10/9(月)配信のメルマガで全文ご覧いただけます。登録はコチラ

Photograph/Edit=柚木大介 Text=村上隆保