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ホリエモンWITH 「米を23%まで磨き、日本一を目指して造った獺祭」桜井博志が語る日本酒純米大吟醸のこだわりとは? その3

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杜氏さんたちにFA宣言されちゃったので、しょうがないから自分たちで作りました。

堀江 『獺祭』は、山田錦しか使っていないってことですが、減反政策で山田錦の作付面積が制限されていますよね。だとしたら、今、山田錦を作ったら儲かりそうな気がするんですけど……。

桜井 儲かりますよ。山田錦って高い米ですから。それに、山田錦は酒造好適米の中で一番供給量がある米なんですけど、それでも日本全国で30万俵ちょっとしかありません。本当は、うちだけで60万俵くらい手に入れたいと思ってるくらいなんですから。

堀江 旭酒造では、その30万俵のうち、今、どれくらい使用してるんですか?

桜井 4万1千俵くらいですかね。

堀江 山田錦の生産技術って、ふつうの食用米と比べると高度なんですか?

桜井 高度ですけど、やってできないというものじゃないと思います。

堀江 どのへんが違うんですか。一応、僕のおじいちゃんちが農家で、米も作っていたんですよ。

桜井 山田錦って、ふつうの米より丈が高いんです。そうすると台風なんかに弱いんですよね。それから、実が良くなるから頭が重たい。農家からしてみたら、少し手の掛け方を考えないといけない米なんです。

堀江 今は農協経由とかで仕入れてるんですか。

桜井 農協経由でも仕入れてるし、農家から直接も仕入れてます。

堀江 契約農家みたいな方はいらっしゃるんですか。

桜井 います。

堀江 例えばその契約農家さんで、買付け単価が異なったりするんですか?

桜井 いえ、基本的には一律です。その県の農協が出してる値段で、私らは買わせてもらっています。今、うちで一番たくさん作ってる農家は130町歩やってる農家があります。

堀江 130町歩って言われると……ちょっとその大きさがわかりませんけど。

桜井 約130ヘクタールです(東京ドームの約27倍)

堀江 それは、どこですか?

桜井 岡山ですね。それでも、私らはもっと山田錦を作ってもらえるように働きかけてます。

堀江 年間の出荷本数はどれくらいなんでしたっけ?

桜井 だいたい一升瓶で約110万本。こんなに売れるって、純米大吟醸は前代未聞でしょうね。

堀江 在庫はさばけている感じですか?

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桜井 在庫はまったく足らない状況です。あればあるだけ売れてしまう状態。だから、私らは、もっともっと作りたい。だから米があれば……。

堀江 じゃあ、山田錦ベンチャーでも立ち上げようかな(笑)。

桜井 ぜひ、立ち上げてください(笑)。

堀江 今、農地生産法人とかって、どんどん規制が緩和されつつあるじゃないですか。現実的に株式会社として山田錦を製造するベンチャー企業を作るっていうのは全然あると思うんですよ。あと、雑誌の記事かなにかで読んだんですけど、「日本酒の方がワインより手間がかかる、原価率が上がる」というようなことが書いてあったんですが、やっぱりそうなんですか。

桜井 そりゃ、もう全然違いますよ。

堀江 プロセスが一個多いですもんね。

桜井 多いですね。でも、それよりも日本の場合は、杜氏さんという職人集団がいて、その人たちが何百年にもわたって改良を積み重ねて、今の日本酒というスタイルになったんです。だから、細部における技術がすごいんですよ。

堀江 すごいっていうと?

桜井 例えばビールだったら、麦芽を煮沸させて無菌状態にします。そして、そこに酵母をつけて発酵させるわけです。ひとつひとつの行程を順番に行います。そのために安定した品質が保てます。しかし、日本酒は糖化と発酵を一緒にします。だから品質のコントロールが非常に難しい。そこを杜氏たちの長年にわたる経験と勘でやっているわけです。もし、この行程を別々にやってしまうと、まったく別の飲み物になってしまうんですよ。

堀江 やったことあるんですか?

桜井 あります。だって、うちは元地ビールメーカーですから。地ビールの設備があったので、それに米入れてやってみたんです(笑)。