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ホリエモンWITH エンタテイメントとVRの融合を探求する。エンタテイメントシステム第一人者、神奈川工科大学准教授・白井暁彦 その4

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「間違いなくこれからVRの時代が来ます」。

白井 ラバルバーチャル(Laval Virtual)っていうフランスの小都市Lavalで毎年開催されているVRのイベントに、世界最高のデモということで今年は日本から落合君の作品を連れて行くんですよ。フランスの田舎の子供たちにも「魔法だ」って言ってもらえたら面白いですね。

堀江 あと、僕は落合君のデモなら「シャボン玉ディスプレイ」の先の技術が一番興味ありますけどね。質感再生。あれのためになんかお金集めてやりたいっすよね。

白井 おお。でもあれを評価してくれる人はなかなかいないんですよ。あの技術の意味が分かってる一般の人っていうのはそんなに沢山いない。

堀江 だからやらなきゃいけないし、商品化してやりたいんですけどね。

白井 僕も今回フランスで学科の他の先生と共同で「フライアイレンズ」を使った似たような展示をやるんですよ。

堀江 「フライアイ」って昆虫の複眼みたいな?

白井 そうです「ダイヤモンド・タブロー」といって、昆虫の複眼と同じレンズをメディアのiPadの上に乗せて、複雑な「輝き」を表現するんです。

堀江 ほうほう。

白井 落合君も視野闘争とか研究しているんですけど、「輝き」というかキラキラしたものって右目と左目違う情報が入ってきているんですよ。右目と左目で違う光線情報を再現することでキラキラ感を再現できる。そこに着目してるんですね。で、それが表現できると彼がやってるような表面の反射係数をコントロールするものも別の次元で見えてくると。

堀江 臨場感が飛躍的に上がりますね。カメラを何百台ってつけて風景を撮影して、リアルタイムにその光線を転送して見るみたいなことができると多分「ええ!?なにこれ」みたいに絶対なると思うんですよ。

白井 NHKでもまさにそういう研究をやってました。自分が研究していたころは「そういうディスプレイが現れるといいなあ」って思ってやっていましたけど。でも研究者は1年2年しかいられないので、何とか将来の放送のレベルまで来て欲しいなって思って高速化してました。

堀江 だから僕はそういうことを理解した上で、これは「お金をかけても時計の針を早めるべき」だと思うところに対して投資をする。これを継続的にやるような田作りするのが自分の仕事だと思ってるんですよ。

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白井 実は多重化隠蔽映像、多重化映像も第4世代「フラットパネル版」がすでに成功していたりするんですよ。

堀江 すごいっすね。プロジェクターなしで見れるんだ。

白井 はい。ありがとうございます。とりあえず今日見せられるのはここまで。ハハ。近いうちに「ExPixel」という名前で広く報道されると思います。

堀江 これ何に使うんですか?なんか面白そうですよね。

白井 実はこういう映像多重化技術は、中東の国も興味を持ってくれてるんですよ。ほら向こうって複数の言語が混在してるじゃないですか。映画を見ると字幕が多すぎるんですね。

堀江 ああー、なるほど!それは使えますね。でもこれ2画面しかできないんでしたっけ?

白井 うっすら見えるくらいのレベルだったら多チャンネル化は簡単です。完全に分離したいのであれば直線偏光と円偏光とか偏光を分ければ可能になります。

堀江 多画面多重化流行りそうですね。確かに。

白井 ディスプレイの方向性として、3Dや大画面以外にも発展性があるべきだと思うんですね。家族で同時に別のチャンネルが観られるとか。また、落合君の技術で言うとこの、見る方向にそれぞれのその構成空間を再現できるとなると、不思議なマテリアルがちゃんと表現できるようになったりそういう技術に繋がるんです。他視点からのものをちゃんとそのそれぞれ違うものが表現できるといろんなことができる。

堀江 スマホの対応はどうなんですか?あれはソフトウェアで組み込めるんですか?

白井 Unity上で実装してあるんで、技術的にはスマホ上で実装可能なところまではもっていけます。

堀江 なるほど。

白井 あと液晶画面にはもともと偏光フィルターが入ってるので、ここに今の僕が使ってるような技術をちょっとだけ細工すれば入れられるんですよ。フィルターにはものすごいマイクロ、ナノレベルのスリット入ってるんですが、1ピース10円くらいで安いです。技術はまだちょっと特許的に時間がかかりそうですけど。

堀江 特許的に時間かかるというのは?

白井 先ほどお見せした多重化隠蔽映像技術「ScritterH」は国際特許を出願しているので、検索すれば出てきます。「これがフラットパネルで成功したら呼んでくださいね!」っていろんな国の電機メーカーさんからは打診されていますからね……。「ExPixel」を発表されたら大騒ぎになるかも。

堀江 ハハハハ。

白井 彼らも「3Dの、その先のイノベーション」が欲しいんですよ。3Dみんな飽きちゃった普通だって。だから3Dで培った高速化・高解像度化技術をそのままに、こういうメガネだけでできる技術とか、その先の根本的な付加価値創出技術が欲しくてたまらない。

堀江 さっきのは普通に3D使えますもんね。要は2D、3D両方出来ると。

白井 そうです。既存3D互換のハイブリッドシアター「2x3D」というプロジェクトです。3Dメガネのフィルターは片目で充分。他にも「Ubicode」というデモプロジェクトがあって、例えばQRコードをカンバンに表示するとデザイン崩れるじゃないですか。これをScritterHで隠蔽して。さらにこの偏光フィルターでスマホケースをつくっておいて、スマホで見るとQRコードが見えます。で、このガジェットで見ると初音ミクが普通の服じゃない服着て踊ってますみたいな展開。これに500円くらいだったら出すでしょう?

堀江 そっか、カメラに付けるんだそれ。すごいアイディア!

白井 スマホと連動っていう意味では、公共のデジタルサイネージに物理的なガジェットっていう仕掛けでお金を取るチャンスは出て来るのかなと思うんですよ。

堀江 でもその特許を取る前にお金はかかりますって話ですよね。

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白井 神奈川工科大学は特許出願は支援してくれるので有り難いのですけど、すごい勢いで研究すればするほど革新技術は生まれますし、過去の特許との差別化や資金的な手続きなどもあるし。大学は製品作らないので「スピード感もって」というのとは若干違うので。「エンタテイメントシステムの技術、面白いんでまとめて売りに行くからライセンス契約しないか」って、堀江さんポンとお金出してくれるんだったら僕はどんどん書きますよ。

堀江 なるほど。売りに行くって話も。それなら法人を作ってそこから研究費が出るようなプラットフォーム作った方がいいんじゃないですか。

白井 そうですね。それまさに「多重化映像コンソーシアム」と呼んで初期のころから活動しているんですけれど、面白い技術をお金出しあったり特許出し合ったりして、みんなが自由に使える仕組みを作れたらなと。USBとかブルーレイとかもそうやって成立していて、各々がそういったライセンスを手に入れられる。普及してない技術を個々の会社が知財守ってもしょうがないんで、そういう形のほうがいいんですね。

堀江 そうですね。

白井 だからまずはオープンマインドにやっていけるような人たちがいればなと。個々のメーカーに持っていこうとすると「それは自分達でやりたい」って言って抱え込もうとするので。じゃあ「自分たちで新しい製品、みんなで使える技術を作れるほどその巨大戦艦は動きいいんですか」っていうと、全くそんなことはない。

堀江 その通りですね。うちも投資ファンドやってるんで、そういうところも話できると思います。今度うちのファンドの人間連れてきますよ。うまいこと多重化映像のコンソーシアムできるといいですね。

白井 そうですね。ありがたいです。

堀江 僕らはそういう世の中の便利に変えていくような会社に対して投資をしてるんです。こういう感じの技術に。

白井 「ScritterH」や「2x3D」,「ダイヤモンド・タブロー」や「ExPixel」は魔法のような技術だけど、ウソ偽りなく確実にできているので。もし堀江さんが噛んで支援してくれるのであれば心強いですよ。

堀江 ちょっとやりましょう、それは。

白井 やりましょう。やった!

堀江 やりましょう。何と言うか、今ってオキュラスとかクラウドファインディングみたいなところからVRの業界を引っ張ってるわけじゃないですか。それに対して、もう起死回生で頑張ろうとしてるソニーとかが完全に引っ張られてる。

白井 キヤノンもそうですね。ものすごい長い時間とコストをかけて研究開発しています。

堀江 だからみんな多分同じような製品を出していくと思うんですけど、そういう流れって作れると思うんですよ。

白井 そうですね。堀江さんみたいな人が、長年研究されてきたVRの再起や普及を応援してくれると心強いです。まだもう少し先かもしれませんけど、間違いなく世界中でこれから来るのはバーチャルリアリティの時代だと思います。これからもよろしくお願いします。

堀江 そうですね。それでは本日は長い時間ありがとうございました。

白井 ありがとうございました!

 

 

白井暁彦(Akihiko Shirai)
1973年神奈川県横浜市生まれ。1992 年、東京工芸大学写真工学科、画像工学専攻卒業。キヤノン(株)、キヤノングループの英国ゲーム関連企業Criterionを経て、東京工業大学総合理工学研究科博士後期課程に復学、2004年に『床面提示型触覚エンタテイメントシステムの提案と開発』で博士(工学)取得。(財)NHK-ES、フランス留学、日本科学未来館科学コミュニケーターを経て、現在、神奈川工科大学情報メディア学科准教授。国際学生対抗バーチャルリアリティコンテスト実行委員、フランスLaval
Virtual ReVolutionチェアマン、芸術科学会理事。著書に『WiiRemoteプログラミング』,『白井博士の未来のゲームデザイン~エンタテイメントシステムの科学~』。

神奈川工科大学 情報学部 情報メディア学科 白井研究室
http://blog.shirai.la

ハイブリッドシアター2x3D
http://www.shirai.la/
topics/news/pressrelease20121025

UbiCode
https://www.youtube.com/watch?v=bcpONEC9Lzo

著書「白井博士の未来のゲームデザイン ―エンターテインメントシステムの科学―」
http://aki.shirai.as/entsys/

 

Photograph/Edit=柚木大介  Text=伊藤龍介 Transcription=   logo23